矢沢あい(集英社)。
話題の少女漫画を、遅ればせながら読んでみた。田舎出の冴えない女の子が、才能に溢れたミュージシャンと知り合い、それをきっかけにロックスターと深い仲になる。そういう、あり得ないようであり得るかもしれない話を「あり得るかもしれない」ほうに少しだけ傾けた塩梅と、モチーフの採り方を考えると、売れたのには納得。人物造型は、むしろ意外なほどに、少女漫画の鋳型に忠実と思ったが、その点も安心して読まれる所以か。対象読者層の気持ちになって読んでみると、確かに大小の夢に手が届きそうな気分になってくる。そういう仕掛けに満ち溢れた作品と思う。
絵もそこそこ描き込んであるが、絵の持つ情報量よりも、モノローグを含む台詞が圧倒的に多い(少なくとも、読後は台詞のほうが印象に残る)。その点、個人的には好みではないが、絵を読み解く訓練を積んでいなくても共感できる、という意味では、こういうやり方のほうが読者をつかむという点では正解か。
第12巻までで累計2200万部という数字が妥当かどうかは、まだよくわからないが、途中からは「売れているから余計売れた」ということではないかなあと思った(その分水嶺がどれくらいかも不明だが)。売れるということは大事である。
2005年05月15日
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