2006年02月18日

真夜中のピアニスト

ジャック・オーディアール監督作品(2005年フランス)。「隣りのマフィア」(文春文庫)の作者トニーノ・ブナキスタが脚本で参加していて、昨年かなりの評判を呼んだ作品。見逃していたが下高井戸シネマのレイトショーにかかっていたので観に行った(2月15日)。不動産ブローカーの父とピアニストの母を持つ青年が、父の跡を継ぐようなやくざな仕事に就きながら突如ピアニストへの夢を再燃させ、やくざ稼業と繊細な音楽の世界の間で引き裂かれるような日々を送る、という話だが、ひとりの男(敢えて“男”と書いておきたい)だけの成長というか変化を執拗に追い続ける筋の運びとカメラワークにちょっと驚く。派手に観客の心を動かす仕掛けはないが、その分静かに深く感銘を覚えたように思う。

あと上にあらすじをごく大雑把に書いたが、実際は映画として理解できる範囲の線でもっと複雑に(ご都合主義的にではなく)構築されていて、その複雑さの按配に人間を描く上でのリアリティを感じさせられた。そうでなくてもきつい状況なのに、仕事仲間の妻をついその場のノリで口説いてしまうところなどの、自分の日常に無駄に混乱を呼んでしまうどうしようもなさとか、なるほどそうだよねえ、という感じである。

「マッド・フィンガーズ」(ジェームズ・トバック監督。ハーヴェイ・カイテル主演。1978年アメリカ)のリメイクということだが、オリジナルにはない「主人公が言葉の通じない中国人にピアノを習う」というシークエンスが重要なパートとして挿入される。いや、すみません、オリジナルは観ていませんが、監督のインタビューなどを読むとオリジナルからは設定を借りたくらいみたいだ。

で、レッスンを放り出しそうになる主人公(ロマン・デュリス)にその中国人女性(リン・ダン・ファン。「インドシナ」以来13年ぶり!の映画出演)が中国語でまくし立ててて、お互いに言葉がわからないのになぜか通じ合うシーンが美しかったなー。
posted by aokiosamublog at 12:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画
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