2006年11月17日

吉例顔見世大歌舞伎

歌舞伎座11月興行。幕見で夜の部の「雛助狂乱」「五條橋」「河内山」だけ観る。「雛助狂乱」は、歌舞伎座では初演という珍しい舞踊で、主役の秋田城之助は菊五郎。筋書きによると、二世嵐雛助が寛政11年(1799年)に江戸市村座で初演したときには大当たりをとったそうだが、うーん、なんだかよくわからなかった。「狂乱した城之助が扇子で雪を払っているうちに捕り手が打ちかかって来るが、雪を払うように扇子で捕り手をうち払って行く」という背景は承知して観たが、それでもなあ。

続く「五條橋」は、いうまでもなく牛若丸と弁慶の立廻りを主題にした舞踊で、富十郎と鷹之資の親子共演。舞台の出来はともかく、鷹之資の牛若丸が可愛い。

「河内山」は、河竹黙阿弥の「天衣紛上野初花」(くもにまごううえののはつはな)の「質見世より玄関先まで」で、質屋の上州屋にたかりにいった河内山宗俊が、上州屋の娘が奉公先の松江候の屋敷で主の妾になれと押し込められているのを知り、二百両の礼金で娘奪還を請け負って、東叡山(寛永寺)の使僧と偽り松江家に潜入、見事救出に成功するというくだり。

團十郎の河内山の、煮ても焼いても喰えなさそうな悪党振りがカッコよい。上州屋で「ひじきに油揚の惣菜ばかりを食べてちゃあ、よい知恵も浮かぶめえ」と質屋の面々を小馬鹿にするところとか、松江家の玄関先で正体を見破られたときの開き直り、そして去り際に「馬鹿めえ」と残す捨て台詞など、なんだか知らないけど溜飲が下がる(特に上がってたわけではないが)。

#團十郎は、快気後の本格的な舞台復帰になるそうな。

松江候は三津五郎だったが、短気で怒りっぽい馬鹿殿ぶりはよかったものの、馬鹿に深みがなかったかな。えらそうにごめん。玄関先で河内山の正体見破って相対する奸臣北村大善を演じた弥十郎もよかった。

千秋楽は来週の25日だが、幕見で「河内山」だけ観るのもおすすめかな。昨日は割と空いていた。

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ちなみに12月は、昼の部に近松門左衛門の「八重桐郭噺」や落語でもお馴染みの「芝浜革財布」、夜の部に福内外鬼(平賀源内)の「神霊矢口渡」や池波正太郎の「江戸女草紙 出刃打ちお玉」、黙阿弥の「紅葉狩」という演目。「芝浜」と「出刃打ちお玉」は菊五郎ってのがあれだが、つまらないギャグを入れなければよい。雀右衛門(86歳!)も出演(昼の部「勢獅子」の芸者役)。久し振りに前売り買おうかな。もう売り出してるが、買えるかなー。
posted by aokiosamublog at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌舞伎/演劇
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