2007年03月03日

「くだらない」考

色川武大の「寄席放浪記」が河出文庫に入ったので読んでいたら、(初代)柳家権太樓の芸風に触れて(「袴が似合った権太樓」)、「理屈といっても、固いことをいうのではなくて、与太郎風の理屈であり、どうでもいいことを重箱の隅をつつくように独特の奇妙な理屈をつけていく。(中略)そこがおかしい。また実にくだらない。」という一文に続けて、次のように書いている。「くだらない、というのは誤解されるといけないが、ナンセンスな面白さ、というほどの意味で、落語には重要な要素だと思う。」

本読んでて久し振りにはたと膝を打ったので記しておく。

先日の日記でもちょっと話題にした「バカ」にも通ずるが、言葉の表面的な肌触り、舌触り、耳触りではなく、早川義夫の「ラブ・ゼネレーション」ではないけれど、「言葉の奥には愛がいっぱいある」かどうかが大切なのだと思う。

ちなみにこの本には、「文楽は上ッ面のセリフが多そうなわりには、きちんとものをいっていた人だと思う。」(「林家三平の苦渋」)みたいな、今となっては(多分)誰も書けないと思われる文章がときどきあるので、有り難い一冊である。
posted by aokiosamublog at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍/読書
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