新宮・くし一のおばちゃんに教えられたとおり、新宮発朝9時半のバスで、和歌山から三重への県境を越え、熊野市駅へ。バスは目的地の花窟神社の前を通るのだが、それを知らずに熊野市駅まで行ってしまった。まあそこから歩いて戻っても10分程度ではあった。で、年に二回行われるという御縄掛け神事を見物。
#海辺から、ご神体の注連縄を掛け替えるところ
#ご神体に供物が供えられるところ
詳しくは上記ホームページを参照していただきたいが、儀式の際のお供え物にトマトやバナナがあるのが、南国っぽくてよい。
花窟神社のご神体である巨巌は、とにかくでかい。あまりにでかくて、全貌を把握できないほど。帰りに神社の敷地の裏手に回って、この辺りから入り込めば巨巌への昇り口などあるかな? と踏み込んでみたが、やはり神域っぽいし、かと思えば民家の庭先に出てしまうわで、諦める。
その後駅まで出て、新宮に戻ろうと思ったが、せっかく熊野市まで来たので鬼ケ城跡を見たり古道を歩いて帰ろうと思って計画変更。取り敢えず駅前の食堂で飯。名物ばかり喰うのもなんだと思いカレーライスを頼んでみた。すごい普通のカレーライスであったが、ここ店構えも普通の食堂なのに、寿司のカウンターもあり、メニューは中華洋食から刺身定食に寿司各種まで、なんでもある。メニューをつぶさに眺めてしまうと、なに頼んでいいのかわからなくなるだろう。
で、まずは文字岩を見物。文字岩といえば、大分県国東半島の神代文字岩などが有名だが、ここのは伊勢の医師であり作家でもあった橘南渓が、熊野木本の友人を訪ねた折、徐福の宮を訪れた感動を五言絶句に詠み、華城山の麓の岩に墨で書き遺したという物件(寛政7年-1795年)。
その後、やはり木本に住む別の医師(喜田玄卓)が、雨露で消えてしまうのが惜しいと、その墨跡を石工に彫らせたのが、今に残る熊野の文字岩である。
考えてみれば、旅行の感慨を落書きしたら、それを関係のない人が勝手に彫ってしまったともいえるわけで、岩を勝手に彫らせた喜田玄卓は代官所のおとがめを受けたという逸話も残っているという、なんかお茶目な物件であった。
ちなみにその五言絶句は---
驚去徐仙子|深入
前秦雲|借問超逸
趣|千古誰似君
(岩に彫られたそのままを写す。|が五言ごとの切れ目)
内容は、まあ、「徐福の話を聞いて驚いた。私はこの地を去るが、空の雲は秦までつながっているのかなあ。徐福にその冒険譚を聞いてみたいなあ。こんな男がかつていただろうか(いやいない)」みたいな感じで、それもまたなんか可愛い。
文字岩をあとにしてぶらぶら歩き、続いて海岸沿いの鬼ケ城跡。入口(西側)はこんな感じ。
で、これを上ると、弁天神社の小さな祠がある。そこからの眺望。
おおなかなかと思っていると、その先がなんかもっとものすごかった。気の遠くなるような長い年月をかけて波に削られた岩が作る奇異なる景観が、こんな感じで 続く。ちょっと不注意すると足を踏み外しそうなところも結構あるが、ふと頭上を見上げると、今にも落ちてきそうな巨岩が顔を覗かせていたりする。
ちなみにここには、昔多蛾丸という海賊が住み着いていて、鬼として恐れられていたそうだ。で、坂上田村麻呂に退治されたという、そんな伝説が残っているとの由。そんな伝説も含めて、天然自然にできたテーマパークみたいで面白い。恐山に通じる感じもある。
西側の入り口から全体を抜けると、東側の入り口に出るのだが、そこではご老人方が「鬼フェスタ2008」の準備に余念がなかった。鬼フェスタってネーミングセンスが素敵だ。
さてこの東側入口から、鬼ケ城跡まで上る。これはかなりきつく、まず息が切れ、次いで太ももが悲鳴を上げたが、まあ明後日に予定している大雲取越のいいリハーサルになったと思う。鬼ケ城跡からの下りは、今回初の熊野古道で、いきなりこんな感じ。
かなり長い間膝が笑っていた。そんなにおかしいか。
山を下りてから熊野市内をぶらぶらしてたら、こんな感じの佇まいをいくつか見つける。
あ、そういえば、熊野市はなにも調べず訪れて、最初道に迷ったりしたのだが、紀南ツアーデザインセンターという観光案内所を見つけて、大層世話になった。
ここのおかっぱの女の子が可愛くて親切で、「今年もお燈祭に参加する。去年は石段を転げ落ちた」と話したら、「私も毎年下で見てます。くれぐれも怪我しないでくださいね」などと見つめられ、なんかその気になる。俺は車寅次郎か。親切にしてもらったお礼に、そこで売ってた熊野関係の本を4冊ほど購入。
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帰りは電車で新宮に戻り、駅前のいつもの十二社でサエズリと〆サバで一杯。一人前サイズの小鍋が充実しているのに気付き、蠣の小鍋でもう一杯。これ、東京の呑み屋でもやらないかなあ。やってんのかな。実に池波正太郎的なのだが。
それから宿近くの銭湯の新宮湯に浸かり、今日笑った膝や悲鳴を上げた太ももをほぐす。明日もけっこうハードな行程を計画していたのでケアした次第だが、と、雨が結構降ってきて、明日は計画通りに行かないかも。起きてから考えよう。
2008年02月02日
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