2008年07月17日

" Tiny Adventure with Strings " vol. 14

吉祥寺MANDA-LA2にて。イベントの主旨は、酒井俊という歌い手がバイオリン、チェロ、コントラバスのアンサンブルを従えて歌うというもの。今回で14回目を迎えるという。

酒井俊については、寡聞にしてよく知らなかったのだが、ゲストが「パンチの効いたブルース」ということで観に行った。「パンチ」は長見順がギターで、ベースにかわいしのぶ、ドラムにグレイスという、女だけの凶悪なブルースバンドである。

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で、先攻「パンチ」は、1曲目の「あっしにはかかわりのねえことでござんす」の図太いベースのイントロからして凶悪。そしてグレイスのドラムが入り、長見順のギターが乗ると、どちらもどこから飛び出して来るかわからないドスやナイフのような感じで、不意のシンバル・アクセントや不意のギターが突き刺さって来る。

そんな感じで、プレイは実に自由だ。凶悪で自由。そして笑いもある。誰かが暴走すると、ほかのメンバーがそれをげらげら笑いながら見ている。

たとえば「加藤さんのテーマ」のコール&レスポンスもその場の思いつきだろうし(いつ観ても微妙に違うから)、予定の告知をしていて「ダンス天国」というバンドと共演するという話になったら長見順が突如「Land Of 1000 Dances」を歌い出すのもその場の思いつきだろうが、その思いつきに他のメンバーが直ちに反応して、その思いつきをグルーヴに昇華させて行く。そのコンビネーションの妙は、かなりスリリングで面白い。

あと、長見順がうっかり譜面台にギターを引っ掛けて倒したら、即座にかわいしのぶが自分の譜面台をわざと蹴っ飛ばして倒すとか。児戯のようだといえば確かに児戯だが、そういうのが悉く、三人の音楽にマッチしていて、ステージ上にこの三人ならではの音楽の磁場を創り出して行く。

かとおもえば、グレイスが自分のブルース的人生を語り歌う「殴られる人生」や犬になった女の気持ちを歌う「私はグレコ」(ワワワワワン、というコーラスがバカバカしくて可笑しい)とか、長見順の夭折した友人を歌ったという「夏から生まれた夏子さん」など、泣かせる歌、優しい歌もあり、かわいしのぶが歌う「サランラップの歌」「守銭奴のうた」といった狂ってるんだかほのぼのなんだかよくわからない歌もあり、なかなか奥が深い。

長見順のパフォーマンスは、ソロ、手練のセッションミュージシャンと共演、と観て来たが、今回のが一番衝撃的であった。このバンドは、ちょっと追いかけておきたいなあ。

あ、個人的には、かわいしのぶのベースを堪能できたのが嬉しい。「自分がベースになって弾かれてしまいたい」と思ったのは、生まれてはじめての経験であった。

01 あっしにはかかわりのねえことでござんす
02 曲名不明
03 殴られる人生*
04 私はグレコ*
05 秘め事**
06 サランラップの歌**
07 守銭奴のうた**
08 夏に生まれた夏子さん***
09 加藤さんのテーマ***
10 舟歌***

Vo=*グレイス、**かわいしのぶ、***長見順

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さて主役の酒井俊だが、経歴は下記オフィシャルページを参照。

http://www.sol.dti.ne.jp/~s-shun/

なかなかすごい経歴なのだが、上述のとおり私は勉強不足で聴いたことがなかった。なんのきっかけかは忘れたが、最近たまたま上記ホームページ見て、ちょうど興味を持ったところだった。

で、やはり上述のとおりバイオリン、チェロ、コントラバスのアンサンブルを従えて歌うというわけだが、(多分)日本の旧い歌、「Old Black Joe」などアメリカの旧い歌、トム・ウェイツの歌、パティ・スミスの「Because the Night」、「At Last I'm Free」(ロバート・ワイアットだっけ?)などなど、バラエティに富んだ選曲ながら、見事に違和感なく酒井俊の色にまとめ上げていた。

いや正直に言うと、昨夜が久々に徹夜で、一応昼寝はしたものの、早めに吉祥寺に着いたのでいせやにちょっとしけ込んだ所為もあり、そして「パンチ」でちょっと燃え尽きたのか、かなりうとうとしてしまったので、あまり詳しいことが書けないのだった。もちろん勉強不足もあるが、歌詞などを書き取ったメモも、ほとんど判読不能だ。

ストリング・アンサンブルも、かなり実験的、先鋭的なことをやっていたのだが(アレンジや奏法の組み合わせなどはもちろん、チェロの人など、なんだかよくわからないグルグル回る機械でチェロの弦をこすっていたり、やはりなんだかよくわからない火花を散らす機械などを使った演奏も披露していた)、今となっては曲ごとの違いが不鮮明で、ライブ全体として「いろいろな歌を、実験的、先鋭的なストリング・アンサンブルに乗せて、酒井俊が自分の歌唱世界にまとめ上げていた」という記憶の塊が残っているだけである。とても面白かった印象は留めているのだが、残念。

ちょっとCDを集めてみて、またトライしたい。
posted by aokiosamublog at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽(ライブ)
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