2010年03月30日

池袋演芸場3月下席〜新作台本まつり〜

池袋演芸場にて。

落語協会主催で公募した新作台本発表の場。各日の主任が公募台本を演じ、他の演者は自作等のいわゆる“新作”を演る会。私は今年初めて足を運んだが、公募や発表は2005年から行っていて、優秀な作品は繰り返し演じられているようだ。この会期(3/21〜30)でも、たとえば2005年作品が2本かかっている(26日の円丈「ピザ一枚」と、28日の清麿「もてたい」)。さて、この日は若干遅れて、午後3時前、奇術の花島世津子の前辺りに到着。いつもの奇術を(池袋時間で)たっぷり堪能したのちー

-夢月亭清麿「東急駅長会議」

東急線(田園都市線と東横線)の各駅長が会議の席でくだらない提案を競うというだけの噺。各駅に関するどうでもいい蘊蓄が、あの面白くもなんともないような淡々とした芸風で重ねられていくのが、却ってなんとも可笑しい。最後は東横線の急行停車駅と各駅のみ停車駅が逆転し、妙蓮寺から祐天寺まで老夫婦が急行での移動を楽しむ、という展開でも、ここの老夫婦のミニマルなやり取り(怖お爺さんは「うん、うん」しか言わない)も妙に可笑しい。

-三遊亭吉窓「極楽のワニ」

貧乏に喘ぐ住職が、檀家のペットのワニを弔って戒名まで付けて成仏させ、その礼に大金をせしめそれで呑んで店を出た途端トラックに敷かれ極楽に行くと、自分が成仏させたワニがパニックを撒き散らせていたという噺。ワニの描写にもう少しマニアックさがあったほうが、笑いのツボが多かったかという印象。

-三遊亭丈二「血液型」

ガールフレンドの実家を結婚の許しを得に訪ねると、その父親が血液型占いに凝っていて、嫌いな血液型がまさに主人公のAB型。で、AB型であることをごまかしつつ結婚の許しをもらおうと奮闘する顛末。特に大きなひねりがあるわけではないが、後段の「海老尽くし」に向かうAB尽くしのバカバカしさがよい。最前列でこの人観たの初めてだが、上がり症なのかな? マクラの間ずっと小刻みに震えてて、視線も定まっていなかった。

-三遊亭白鳥「はじめてのフライト」

まだ5回、多くて10回もかけてないネタだと思う。小学校で散々担任の杉本先生を手こずらせていた「一郎君」、実は現政界の大物になっていて、移動のために飛行機に乗り込むと、そこで大変な目に、という噺。新しい話なので、これ以上のネタばらしは自粛するが、一応時事ネタや社会風刺ネタも差し込みつつ、「マキシム・ド・呑兵衛」のような味わいがバカバカしくて、この日一番勢いよく笑いを取っていた。ここ何年かで試みている「観客参加型」も、いい感じで浸透してきたようだ。狭い池袋演芸場の客席でも、結構みな積極的に参加していた。久々に観た白鳥は、最前列だった所為もあるだろうが、なんか一回り大きくなったような気がした。あと30〜40年は生きるだろうし、今の内になにか大きな名前(笑)をぽんと上げてもいいかもしれないと思った。

-三遊亭小菊

膝替りに、小菊姐さんの俗曲と都々逸。「両国風景」の茶尽くしが鮮やか。

-林家正雀「金時娘」

公募台本。大店のひとり娘お福は力持ちで金時娘と呼ばれている。そのお付きの女中おみつは優しい美人。そこに紀伊国屋文左右衛門の、修行中の身の息子が車を引いてて倒れて金時娘に助けられ、紆余曲折あって二人が結ばれる。まあ面白かったが、どこで笑ったか、3日経った今では覚えていない。聴いている間、「この辺を掘り下げたら面白いんだがなあ」と思ったが、それがどこだかも忘れてしまった。ただ、あくまでも笑いの量とかバカバカしさとか話の起伏が少し物足りなく感じたというだけで、この会の主旨が、協会が選んだ台本をそのままプロの芸で聴かせる(噺自体にはプロの手を加えない)、ということなら、この高座はこれはこれでよかったと思う。

そういう主旨だからか、オマケに正雀が「松尽くし」を踊って、この日は幕。

ほんとはこういう企画なら、全日は無理でも何日か通ってみるべきだし、一日だけレポートしてもしょうがない気がするが、まあ記録として。
posted by aokiosamublog at 23:00| 落語/演芸