2010年04月08日

酒井俊+桜井芳樹、関島岳郎、中尾勘ニ

吉祥寺マンダラ2にて。

酒井俊(vo)、桜井芳樹(g、バンジョー)、関島岳郎(tu、リコーダー各種)、中尾勘二(ts、tb、kla、dr)。この編成で酒井俊を聴くのは久し振り。

印象は基本的には、この編成では概ねいつも通りの、関島岳郎のテューバのベースラインを中心とした安定した世界の上で堪能できる酒井俊の歌、であった。個人的には、酒井俊の歌を最もくつろいで堪能できる編成だ。

たとえば02なら関島岳郎が吹く「ミ、ドド|ミ、ドド」(多分)というシンプルなベースラインだけで、もう確固とした世界が出来上がるから、すごく歌に集中して聴ける。他の編成では思いっ切り爆発する05や12、13も、即興や非楽音的な要素で渦を作るような部分はほとんどないので同様だ(しかしもちろん、この編成ならではの興奮を、いつの間にか感じさせられている)。

その一方でこの夜は、中尾勘二の不思議な切り込み方とか(トロンボーンの絶妙なスライド使いが独特な可笑し味を生む01や17、クラリネットでちょっと異様なほどのロングトーンを鳴らしてからとつぜんいろんなフレーズに展開していた02など)、06や13での桜井芳樹の激しくうねるギターなど、新鮮で心震える演奏もあった。

ギターのリフに低いハウリングのような響きでテューバが絡んでくる05や、中尾勘二がベースドラムとハイハットでいいビートを刻みながらトロンボーンを吹く08の演奏も面白かった。10の、シンプルなベースラインを着実に一音一音置いていくようなベースラインといい感じにしょぼくれた味わいのあるトロンボーンの組み合わせも、個人的にはすごくたまらない。

歌にフォーカスしていえば、03にはいきなり泣かされた。なぜだかはよくわからないが、自然と目をつむって上を向き気味で聴きたくなる歌唱。この曲は前に聴いたときもほぼ同じ編成だったが(プラス岡部洋一だった)、そのときは桜井芳樹のイントロ(ギターだったかバンジョーだったかは失念したが、多分バンジョー)があまりに素晴らしくて酒井俊が歌に入れなかったという一幕があった(昨年6/17の公園通りクラシックス)。今回はそういうことはなかったが、やはりバンジョーのイントロにはぐっと来た。そういうところも含めて、繰り返し聴きたい名演だと思う。

ほかにも日本の古い歌が多くて、それぞれ楽しかったのも、このライブで印象的だった点。10、11など、印象の強弱はあるが、03と同様の環境を得た。

それと、先日のなってるハウスでもそうだったが、今後は少しMCを増やすということで、この日も渋谷毅や阿部薫の思い出話も含め、ステージや音楽に親しみがわくようなお喋りがあって、これは新しい聴き手を獲得していくなどにはいいことだと思う。音楽を聴くこと自体に、直接なにか大きな影響があるわけでないと思ったが(昨夜の印象では)、酒井俊のライブに触れた数が少ない聴き手には、無駄な緊張感をほぐして歌と演奏を素直に楽しんでもらえるような作用はあると思った。願わくば、「初めて酒井俊を聴きに来た人」がもっと増えてほしい。

以下、この日のセットリスト。曲ごとの楽器編成も併記しておく(桜井、関島、中尾の順)。

01 主人は冷たい土の下に(g、tu、tb)
02 香港ブルース(g、tu、kl)
03 十九の春(ban、rec、kl)
04 赤い河の谷間(ban、tu、ts)
05 黒の舟歌(g、tu、dr)
06 かくれんぼの空(g、tu、ts)
07 Hallelujah(g、tu、ts)
08 Those were the Days(ban、tu、tb)
(休憩)
09 アラビアの唄(g、tu、ts)
10 上を向いて歩こう(ban、tu、tb)
11 浜千鳥(g、kl、tu)
12 ヨイトマケの唄(ban、tu、dr)
13 買い物ブギ(g、tu、dr)
14 I Shall be Released(g、tu、dr)
15 いとしのクレメンタイン(ban、tu、dr)
16 橇に残された約束(ban、rec、dr)
enc
17 満月の夜(ban、tu、tb)
posted by aokiosamublog at 23:00| 未分類