2010年04月12日

酒井 俊(Vo)今堀恒雄(G)ナスノミツル(B)外山 明(Ds)

新宿Pit Innにて。かなり衝撃的だった(その衝撃を反芻するために、文章にまとめ始めるまで時間を置いてみた)。私はまず、“初めて聴いていきなりカッコいいと痺れたロックバンドとの邂逅”という印象を得た。もちろんいろんな感想があると思うし、私も単純に左記の感想だけではないのだが。

それぞれの共演歴はあるものの、この組み合わせで“酒井俊”を演るのは初めてと思うが、これが二回、三回と続くとどうなるのか、楽しみでもり、予想できなくもある。

曲によって、

1. 今堀恒雄の魔性のギター(と私が勝手に呼んでるが、歌に寄り添った単純そうに見える/聴こえるコード・プレイの積み重ねで、いつの間にか聴き手をどこかに連れて行ってしまうようなプレイ)と歌を中心にしたもの(07、08、15など)

2. 今堀恒雄とナスノミツルのボリューム奏法やエフェクト使いでなんとも言えない空気や風景を歌世界の中に作り出すもの(01、04、11、16など)

3. 60〜70年代のいろんなロックの記憶を引きずり出されながら歌の世界に引き込まれるもの(02、05、09、14など)

といったアプローチを中心に、各々の曲の演り方が深まって行くのだろうな、とは、なんとなく思うが、ただしそれが実際に、さらにどんな衝撃を感じさせてくれるのか、とても楽しみに思う。特に3.のアプローチでの酒井俊の歌唱の持つ熱は、すごく軽卒で浅い言い方を許してもらえれば、ロックもいけるじゃないか、と瞬間的に思わせられた。

Pit Innという会場だと、聴きに行く前にいろいろな先入見が入る余地があるようにも思うし(そういう可能性もある、くらいの意味)、いっそのこと下北沢や渋谷のライブハウスで若いロックバンドとタイバンしても面白いかもしれない。いやむしろ、酒井俊の名前も知らない若い客の前で、この編成で一度演ってみてほしいとも思う。私がこの日感じたような(いや多分それ以上の)衝撃が走るところを、目撃してみたい。

細かい点の記憶もランダムにまとめておくと、12〜13は珍しくメドレーで、12では酒井俊が生まれ育った谷中の光景を語る台詞の中に、古今亭志ん生などが出て来て、13はベースとドラムが非楽音を鳴らす一方ギターは歌と寄り添うような仕方ながら、歌の3番で全員がガチっとロック(lock)するところがカッコよかった。

14は、この日酒井俊の出で立ちが着物だった所為もあるかもしれないが(前で結ぶ帯のこなし方がなかなか素敵だった)、後半歌と演奏が渦を巻き始めるところなど、歌舞伎の一幕を観ている印象もあった。

ナスノミツルの演奏では、05のモゴモゴとした(多分)C#とAの繰り返しとか、16の足踏みオルガンのような音色/演奏が特に印象に残っている。以前酒井俊との共演で聴いたときは、唐突な音色/音量をどう捉えてよいか戸惑ったことがあったが、今回はどんなアプローチも(理屈はわからないが)耳で素直に驚き納得できた。

この日カクテルドラムを使用した外山明は、曲中ずっと叩かずとつぜんタムをポンッと鳴らすような場面もあったが、そこに至る「外山明が歌と他の演奏を聴いていた時間」が凝縮されたような一打と思った。それは、リズムを刻むような場面とか、曲中で歌や他の演奏に呼応してかき回すような速いフレーズを叩くところでも、同様のことを感じた。つくづくすごいドラマー(というか音楽家)だと思う。

以下、この日のセットリスト。

01 主人は冷たい土の下に
02 香港ブルース
03 Lean on Me
04 浜千鳥
05 黒の舟歌
06 アラバマソング
07 You are So Beautiful
08 Crazy Love
(休憩)
09 Just Like A Woman
10 かくれんぼの空
11 酒とバラの日々
12 四丁目の犬
13 ヨイトマケの唄
14 I am You
15 Martha
16 I Shall be Released
enc
17 満月の夜
posted by aokiosamublog at 23:00| 音楽(ライブ)