2010年04月21日

渋谷 毅 Essential Ellington

新宿PIT-INNにて。

渋谷 毅(P)、峰 厚介(Ts)、松風紘一(As,Bs,Fl,Cl)、関島岳郎(Tuba)、外山 明(Ds)。ゲスト:清水秀子(Vo)。大まかな感想は、昨年のCD発売記念ライブのときとほぼ同じ(管のアレンジも、印象としてはほとんど同じだったように思う)。

その際に書いた事実的な誤りを若干修正しておくが、

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外山明のセット(スルドがバスドラ代わりで、大きく開いたハイハットのトップとクラッシュが接触している)と演奏(左手に持ったカウベルを指で弾きながらドラムスを演奏したり、とつぜん立ち上がって叩いたり、各打点は拍子に全然かっちりはまってないのに音楽的にはぴったりはまってたり)
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の「大きく開いたハイハットのトップとクラッシュが接触」は、「大きく開いたハイハットのボトムとクラッシュが接触するかのような配置」であった(少なくとも今回は)。またカウベルは、前回は確かに使っていたが、今回は一度も使われなかった。

で、さて、選曲も曲順もCD発売記念のときとほぼ同じで(その際の第二部の「Don't You Know I Care」と「Love You Madly」は割愛されてた)、しかしステージの幕開けは記録してないし記憶もないが、この夜は、外山明のベースドラム四つ打ちから曲が開始された。この四つ打ちが全然ジャストでない、一拍ごとにかなりのずれのニュアンスがある演奏で、これがかなり、その後のステージ全体の印象を決定づけているような気がした。

というか、渋谷毅のピアノーホーンというアンサンブルがかなりきっちり練られたアレンジの通り進行していく上で、外山明のドラムが曲内のムードの変化を大きく演出していく構造、と、今回は感じた。実際どういう考えで構成されているのか、尋ねたわけでもないし私の想像に過ぎないのだが、録音されたものやCD発売記念のときの演奏と比べると、かなり聴き手の感情に作用する演奏だったように思い、その辺と、外山明のクレジットが「ゲスト」ではなくなっていたことから、そんなことを考えた次第。

ただまあ、一番前で聴いたので、PAスピーカーより前でピアノ、テューバ、ヴォーカルが若干聴こえづらく、フロントの管二本とドラムの音がステージから直接耳に響いていた、というのも、そう感じた所以のひとつかもしれない、とも思う。思い返せば、峰厚介や松風紘一のソロと、それを煽るような外山明の演奏が繰り広げられる部分に、今回一番心動かされた気もする。

今回も「ゲスト」と位置づけられていた清水秀子の歌唱は、「歌のため」ではなく「歌も含めたエリントン・ナンバーの再構築」というこのバンドの発想(これも私がそう思っているだけだが)に相応しい、渋谷毅的エリントン世界の中での立ち位置を保つような歌唱と受け取った。歌だけで圧倒するようななにかを多く発するわけではないが、演奏全体の中の役割としての「歌」として、とても心地よく聴いた(ちなみに、清水登壇の間は、渋谷毅に代わって曲の紹介も清水が行っていた)。

歌については、前回は「この演奏でエラ・フィッジェラルドが歌うのを聴けたら」というようなことも思ったが、今回はあまりそういうことは思わなかったのは、このバンドの発想への理解が、私なりに進んだということかもしれない。まあ、Essential Ellingtonの「枠外」で、そのようなライブも聴いてみたいとは思うが、それはまた別の話。

以下、この日のセットリスト。*が清水秀子の歌唱。他はインスト。括弧内に、松風紘一の使用楽器を記す。

01 East St.Louis Toodle-O(As)
02 Black Beauty(As)
03 Just A Sittin' And a-Rockin'(As)
04 I Let A Song Go Out Of My Heart*(As)
05 Prelude To A Kiss*(Fl)
06 I'm Beginning To See The Light*(Bs)
07 Do Nothin' Till You Hear From Me*
08 It Don't Mean A Thing*(Bs)
(休憩)
09 Mighty Like The Blues(Bs)
10 Passion Flower(Fl)
11 Mood Indigo(Fl)
12 Everything But You*(As)
13 Caravan*(Fl)
14 Jump For Joy*(As)
15 Sophisticated Lady*(Bs)
16 Take the "A" Train*(Cl)
17 Come Sunday*(Fl)
posted by aokiosamublog at 23:00| 音楽(ライブ)