2010年09月04日

渋谷毅(p) with 酒井俊(vo)

相模大野アルマ・オン・ミュージックにて。12年振りの共演という。それを12畳ほどの小さなピアノ・バーで、10人くらいの客で聴いた。

酒井俊がデビューした際(レコードデビューは77年)にバンドを率いたのが渋谷毅だし、それがきっかけで渋谷毅が作編曲の仕事中心から演奏活動も増えるようになったとも聞いている。

いや、当時を知らないので事実は違うかもしれないが、とりあえず私の中には伝聞ででもそういうストーリーがあり、また昨年だったか、お二人の共演について双方から(直接、あるいは間接的に)「ないこともないが、すぐにはない」と伺っていたこともあり、私にとってはちょっと特別の重みを持ったデュオ・ライブであった。

だから、前半一曲めが「初恋」(高石友也の訳詞*1)で始まったのには涙腺を刺激されたし、後半二曲目の「These Foolish Things」、あるいは五曲目のトム・ウエイツの「Martha」のような追憶や再会を歌った曲は特に染みた。

*1 この曲は、田中信正の美しいピアノとともにアルバム「The Night at the Circus vol.1」に録音されいてるので、今後渋谷・酒井デュオを聴いてみようと思われる方には、ぜひご一聴されたい。

酒井俊の歌が、いつも通りの深みと迫力と自在な表現力を持って迫り(狭い会場で小ぶりのグランドピアノとはいえ、生声であの迫力はなかなか得難いと思う)、一方酒井俊の歌を受け止める渋谷毅のピアノがいつにも増して淡々とぶっきらぼうで照れくさそうな感じなのも、いずれもこの再会をどう演出するかを考えての“敢えて”だと勝手に感じたが(渋谷毅の“一曲一杯”の飲酒ペースには切実なものを感じたが)、そのある種のぎこちなさが聴き手の胸に迫ってくる感じは実に音楽であったと思う。

それはそれでもちろん心震える体験だったが、今後の共演でそのぎこちさなさがどんな風に溶けて行くのかも楽しみに感じた(私個人の印象に過ぎないが、渋谷毅のピアノは、先述のように淡々としていたとはいえ、曲を追うごとに輝きを増して行ったように思う)。

また、「四丁目の犬」や(多分)「すかんぽの咲く頃/かんぴょう」など渋谷毅が初めて弾いたという歌が今後どのように化けて行くのか(あるいは酒井俊の他の共演者との演奏と比べてどんな味わいが醸し出されるのか)も興味深い。

10月にも下北沢ラ・カーニャでの共演が決まっているとのことだが(16日)、その後の定期的な共演も切に希望する。

以下、この日のセットリスト。各曲への註は、MCで出た言葉の断片をメモしたものだが、あとでご当人たちに確認を取ったもではない。事実と異なっていたら失敬。

01 初恋
02 香港ブルース
03 Something Cool
04 四丁目の犬
→渋谷毅は初演との由
05 I'm Gonna Sit Right Down and Write Myself a Letter
→MCでは「ひとりぼっちのラブレター」と紹介?
06 Little Girl Blue
07 Takes Two to Tango
08 I Love You
(休憩)
09 Smile
10 These Foolish Thing
11 A Sleeping Bee
→T. カポーティの作詞。酒井俊は、渋谷毅としか演ったことがない曲との由
12 すかんぽの咲く頃/かんぴょう
13 Martha
14 Tennesee Waltz
15 My Man
→初共演との由
16 見上げてごらん夜の星を
(アンコール)
17 愛燦燦
posted by aokiosamublog at 23:00| 音楽(ライブ)