2012年11月29日

うめ吉ヨーロッパ報告会

(Facebook「落語総見」グループと同内容 https://www.facebook.com/groups/rakugo99/

2012年11月29日 浅草どぜう飯田屋にて檜山うめ吉は、この11月の1日から23日まで、「6カ国語を駆使する国際派落語家」を名乗る圓楽党の三遊亭竜楽とともにイタリア(フィレンツェ、ラヴェンナ、ボローニャ)、フランス(ニース、パリなど)、スイス(ローザンヌ)、ウィーンと回るヨーロッパツアーを敢行。

その模様を報告する、という主旨のこのお座敷の会は、こうした海外ツアーの前後に壮行会あるいは報告会として、幾度か催されているという。

会場はどぜうの飯田屋の離れの座敷。L字型の30畳ほどの座敷に、お客は30人ほど。うめ吉のファン層というのを私はよく知らないが、この日は60代以上のご高齢の方が多かったように思う。我々夫婦(共に47歳)が若手のほうで、それより下は30代とお見受けできる男性と、20代らしい女性くらいだった。そして我々以外は、ほぼすべてご常連の様子だった。

で、うめ吉ご本人のご挨拶から会が開始。うめ吉の高座に入る前に、こうした会の常連のおひとりで、ボランティアで手品、腹話術、玉すだれなどの活動をされているという木村仁四郎とその奥方が登場。腹話術で無事の帰国を祝うものの、ケンちゃん(木村仁四郎の人形)は「風邪を引いている」ということで二言三言のみ、奥方のほうの人形はちゃんと喋ってたが腹話術師ご本人の口も動いており、なんともいえない微笑ましさだった。幾度か続いているこの会は、とても家庭的で寛いだ感じで行われているのだな、と窺えた。

ちなみに木村仁四郎は、うめ吉の主催するバスツアーなどでも、隠し芸大会を企画する等なされている方という。

さて、うめ吉の高座は、途中ヨーロッパでの出来事の報告を挟みつつ、以下の演目。

・潮来出島(踊り・音源 うめ吉)
・三階節(唄と三味線)
・酒と女(唄と三味線)
・磯節(唄と三味線)
・野球拳(カラオケと唄)
・Wien, du Stadt meiner Träume(ウィーンわが町の夢、カラオケと唄)

このうち「野球拳」は、1〜4番まで四回、うめ吉とお客全員がじゃんけんをし、うめ吉に勝った回数が一番多いお客にお土産が贈られるというもの。一対一で脱衣するものではもちろんなかったが(当り前か)、それなりにお座敷遊びをしている雰囲気が楽しめた。ちなみに私は三回勝ったが(三回勝った人は私を含めて四人)、四連勝した方がおひとりいたので、その方には「うめ吉がヨーロッパから“密輸”したサラミ」が贈られていた。

お馴染みの「三階節」「酒と女」「磯節」は、いつも通りの唄と三味線だったが、最後に歌った「Wien, du Stadt meiner Träume」は、原語ドイツ語での歌唱。ウィーンの公演でのサービスとして、原語の歌詞を覚えて行ったという。

また初っ端の「潮来出島」は、扇子を使って菖蒲が咲く模様を描写するなどが外国人にもわかりやすいという理由で、海外公演でもよく踊る演目だそうだ。

ヨーロッパでの出来事の報告は、Webを見られないお客もいるでしょう、ということで、うめ吉のブログで既に書かれた話も多かったようだが、初っ端のフィレンツェの東洋イベントでひどいめに遭った話(イベント自体が武道中心でとてもやかましかったとの由)、そのイベントで写真を撮られることが多かったため、仕舞いには「一緒に写真を撮って2ユーロ」という商売を始めてみた話、竜楽のお嬢ちゃんになつかれて仕舞いにはそのいたずらの数々に往生した話(ピンク色の小物を取り合ったり、三味線の調律笛を吹きまくられたり)、パリの街の汚さにがっかりした話、ニースに向かう列車で一駅間違えて降りそうになり、その駅が治安の悪い町の駅なので危なかった話、など。独特の可愛らしい毒を交えながらのゆったりとした語り口が、とても面白く、また耳に心地よい。

高座は約40〜50分ほど。そのあとは宴会で、どうぜ鍋、鰻重、刺身のコースから選ばせてもらえる次第だが、せっかくの飯田屋なのに、どぜうを選ぶ客が一番少なかった(7名)。

私はもちろんどぜうで、これに小鉢が二品(うざくとどぜうの南蛮漬け)とどぜう汁とご飯がつき、さらに御酒とビール呑み放題。さらにうめ吉のお酌でウィーンのロゼワインもありと、最終的にはこちらが主旨なのではないかという楽しさであった。

どぜう組の諸先輩の幾人かと差しつ差されつしたが、おひとりは京都から、もうおひとりは根岸の生まれだが現在那須にお住まいでこの日もわざわざ那須からいらしたとの由。私も実は、大阪の友人に誘われ京都までうめ吉のライブを観に行ったことがあるが(そのときはジャズ・トロンボーン奏者との共演)、こうした会に参加することで、うめ吉のファンの方々の熱烈ぶりと、うめ吉がファンの方々に親しまれ慕われている様を、深く実感した。

高座自体は、演目の少なさに若干の物足りなさも感じたが、会全体としてはとても楽しかった。また機会があれば、参加してみたいと思う。ちなみに料金はひとり一万円、いろいろな感じ方があると思うが、2時間半ほどたっぷり遊んで呑んで食べてのこの値段は、私はお値打ちと思った。
posted by aokiosamublog at 23:00| 落語/演芸