2013年01月27日

マックス・クリンガーの連作版画――尖筆による夢のシークエンス

於上野国立西洋美術館。

常設展の一環として、2012年11月3日(土・祝)〜2013年1月27日(日)に展示。

「手袋」の連作を、大学の時分にフランス文学の講義で見せてもらったことを思い出し、最終日ぎりぎりに駆け込んだ。

http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2012max.html「手袋」連作10点は、キャプションを読むのも含めて、3〜4回じっくり鑑賞した。空想、妄想というものに対する作家の考え方のようなものを感じた。

まだ現実世界を描いているのにどこか超現実的な「行為」は、久々に観ても大好きと思ったが、そこから続く妄想の入り口である「願望」「救助」「凱旋」「敬意」といった希望的な流れに、特にくらくらきた。

他の作品群の中では、初めて観た「死についてU」連作12点がとりわけ衝撃的だった。最初、「手紙」以外の全体をざーと流して観てたのだが、この連作の中の「哲学者」がふと目に止まり、そこからずぶずぶとその世界に入り込んで行った次第。

図録は用意されてなかったが、1988年のマックス・クリンガー展(同じ西洋美術館)の図録は入手しやすいようなので、これを機に購入しようと思う。

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常設展示もざっと眺めてみたが、ハンマースホイの「ピアノを弾く妻イーダのいる室内」(1910年)が常設展示入りしていた。2008年のハンマースホイ展のときに購入されたようだ。好きな絵なので、420円払ってまめに眺めに行きたいと思う。
posted by aokiosamublog at 23:00| 美術