2013年06月03日

山田パール劇場

於サニーコート滝野川「山田パール」については、山田パール劇場ホームページより引用する。


ダンサー・表現者/笠井晴子が扮する喋って踊れるモダンガール★​​​
渋谷のバーで名付けられたこの名前で、板橋デビューを飾る。
サニーコート滝野川の管理人。元・藤田医院の孫娘。​​​


補足すると、「渋谷のバー」は渋谷dressのこと。笠井晴子は、自分のダンスの仕事のないときに、ときどきカウンター内などで接客を担当して、そこで酔客に「山田優と小沢真珠に似ている」と、「山田パール」とあだ名された。

その後特に「山田パール」という名前が何かに使われることはかったようだが、祖父の経営していた医院のあった、滝野川の建物の地下駐車場を小さな劇場に改造、その杮落しに「山田パール」名義のダンスショーを企画したということらしい。杮落しということで、経堂の馴染みのアダン・フラワーズで花束を設え(といっても大した金額ではないが、カサブランカの大輪が開いたばかりというので、それとひまわりを組み合わせたもの)、伺った。

元病院が舞台ということで、開演前には「この医院の看護婦だった」と称する女性が飲み物と“薬”(薬袋に入ったお菓子)を振る舞ってくれるなど、開幕前から演出されていた。

ちなみに客席は、地下駐車場の勾配部分に座布団を敷く格好で、15席ほどだったか。

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ショーは、まずジンジャー&フレッドの『空中レビュー時代』(Flying Down to Rio)でお馴染みの『La Carioca』で、金色のロングドレスの上に着物を羽織った衣装のダンスで始まった。ダンスは20世紀初冬のモダンのイメージ? 一度か二度、着物の裾が足に絡んで転ぶところがあったが、立ち直る動作を見るとそういう演出にも見える。

続いて『Stompin' at the Savoy』では、羽織っていた着物を脱いで、ぐらぐらする丸椅子の上でのダンス。ここも20世紀モダン・ガールのイメージかな。椅子があまりにぐらぐらしていて、何度か落ちる場面もあったが、これまた事故か演出かは、観ていて判断できなかった。

#終演後に尋ねたら、どちらも予期せぬ出来事だったとの由。しかしそれをそうと見せない辺りはさすがであった。

『Stompin' at the Savoy』の終わり頃、踊りながらゴールドのドレスを脱ぎ、それを丸椅子に被せてもう一人の踊り子のように操りながら、腹話術のような声で自分と劇場の由来を、笑いを含めながら語る。そこから「祖先」と「子孫」という言葉を織り込んだヒップホップ風?オリジナル曲でのダンスになったのだが(衣装は黒の、半袖ショートパンツのオールインワン、というのか?、とサングラス)、ここで展開された笑いのセンスがなかなかよかった。笠井晴子という踊り手の持つ魅力が、ぐっと伝わって来たと感じた。前説的な役割を演じていた看護婦姿の村山華子が共演(ちなみに村山華子は、自身もダンサーで、この公演ではストーリー作りや小道具制作でも協力)。

お次は、いったん幕裏に引っ込んだと思ったら、腹巻きステテコ姿で、福笑いをモチーフにしたダンス。舞台のうしろの鉄製の引き戸にマグネットの目鼻口を張って顔を作り、その顔に併せて引き戸の裏で踊るという趣向。これもかなり笑った。途中、一番前に座っていたので舞台に引っ張り出され、福笑いをさせられたが、私が作った顔でのダンスは今ひとつ受けが悪かったようで、申し訳ないことをした。

そのあとはブルーのドレスに着替え、もうひとりのゲストの飯塚友浩と『Shall We Dance?』。ここのダンスはきれいだなーという記憶しかないのだが、終わり頃に中の照明を落として外(下手側の小さな窓)からの光で山田パールを照らすという演出は美しかったな。

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外の看板には、上演時間約50分とあったが、終わってみるとアンコールや挨拶のダンスも含めて一時間は超えていた。正直、どんな公演内容なのかまったく知らなかったので、なにも考えずに臨んだが、いろいろな技術といろいろな発想に富んだ、いろいろな工夫が凝らされた楽しいショーだったと思う。
posted by aokiosamublog at 23:00| 歌舞伎/演劇