2014年07月31日

第二回 三遊雪どけの会〜浅草回帰〜

浅草演芸ホール七月余一会※落語協会分裂騒動などは、知識としては知っていてもほとんど実感はないので、記述に違和感などある場合はご教示いただければ幸いです。

同じ三遊亭圓生一門の流れを汲みながら、1978年の落語協会分裂騒動以来、基本的に交わることがなかった円楽一門と圓窓/圓丈各一門の、“雪どけ”を目指す合同落語会。第一回は国立演芸場だったが、第二回の今回は円楽一門が浅草の定席寄席に戻って来る、という格好になった(当代円楽の襲名披露は浅草演芸ホールでも行われたけれども)。

四年前の圓生争奪杯(於浅草東洋館)※と比べたら、とても平和な会だった。ただ争奪杯のときにもいたような明らかなアンチ圓丈の客が三人くらいいて、仲入り前に圓丈が上がったとたんに席を立って出て行ったのが、いかにも不粋だなあと思ったけれども、客席は全体的にはどの一門の噺家に対しても、とても好意的という印象だった。

※圓生争奪杯の模様については下記参照
http://www.aokiosamu.jp/blog/2010/03/post_230.html

ちなみに各高座でも他の一門をくさしたり煽るようなところが(ネタとしても)なかったのも、「とても平和な会」と感じた所以。ただ萬橘がマクラでちょっと意地悪く「圓丈さんが噺(白鳥作の『シンデレラ伝説』)を『ダディ? ダディ?』と始めたのを聴いたときは、我々は間違ってなかったと思った」と言ったのは可笑しかった。

力を抜いた漫談は膝替わりの窓里のみで、ネタごとの強弱軽重はあれど、普段の寄席とは異なり全員がきっちりとネタを演っていた。それはそれで嬉しいけれど(私としては橘也『いたりきたり』、円楽のマクラの歌丸が臨死体験をして先代円楽と談志に会う噺、天どん『通信簿』、圓橘『半分垢』、白鳥『スーパー寿限無』、小圓朝『夏泥』、圓丈『シンデレラ伝説』、萬橘『穴子でから抜け』、小圓楽『後生鰻』がとりわけ印象深かった。)、色物なしで18人の出演者ほぼ全員がきっちりしたネタの落語、というのは、かなりの集中力を要求されたような気がする。

一回めのときの取材に、圓丈は「4年、5年かけてやっていけたらいいなと思っています」と応えているが、まあ内部事情もいろいろあるだろうけれども、もう少し少人数でこまめにやるか、あるいは特別な興行として永らえずに、円楽一門が普通に寄席に戻ってくれればよいと思う。

まあ個人的には、円楽一門の会を聴きに行くことはまずないのと、やはり寄席の雑多な空気の中で聴いたらどうかなという興味があるので、普段の寄席に出てくれればとても有り難い。できるだけ早く“雪どけ”してもらいたい、というのが、今日得た一番の感慨。

以下、今日の演目。
◯:円楽一門
▢:圓窓一門
△:圓丈一門

◯三遊亭らっ好・・・・やかん
◯三遊亭橘也・・・・・いたりきたり
△三遊亭ぬう生・・・・幇間腹
◯三遊亭全楽・・・・・真田小僧
◯三遊亭円楽・・・・・寄合酒
△三遊亭天どん・・・・通信簿
▢三遊亭萬窓・・・・・たがや
◯三遊亭圓橘・・・・・半分垢
△三遊亭白鳥・・・・・スーパー寿限無
◯三遊亭鳳楽・・・・・目薬
◯三遊亭小圓朝・・・・夏泥
△三遊亭圓丈・・・・・シンデレラ伝説
(仲入り)
◯三遊亭萬橘・・・・・穴子でから抜け
▢三遊亭窓輝・・・・・権兵衛狸
◯三遊亭小圓楽・・・・後生鰻
△三遊亭丈二・・・・・1パーミルの恋人
▢三遊亭窓里・・・・・漫談
◯三遊亭好楽・・・・・紙屑屋

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posted by aokiosamublog at 23:00| 落語/演芸