於浅草演芸ホール( http://www.asakusaengei.com/ )、昼席大阪からの客人が「東京の寄席を体験してみたい」とのことで、ならばなるべく賑やかなほうがよいかなと浅草演芸ホールの「第三十四回 初代林家三平追善興行」に案内し、一緒に様子を覗いてきた。
ある種お祭りめいた雰囲気で、全体的には噺家も漫談が多かったけれども、初代林家三平一門(って書き方でよいのかな)の底知れなさをじっくり味わってみるという意味では私自身にとってもよい機会だった。
私個人の好みからは、やはりどうしてもしん平(残尿感やライザップをネタにした漫談)、たい平(笑点ネタの漫談)、種平(『お忘れ物承り所』を途中まで)といった辺りが頭ひとつ分飛び出て感じられ、惹き付けられた次第だが、噺家では来年3月に真打昇進するというたけ平の漫談(熱海と新婚旅行ネタ)、色物ではまる子のウクレレ(を持ってるだけで弾かない)漫談、ペタ子のほのぼの・しみじみしたギター漫談と歌、まる子の両親であるライス・カレー子の環境問題をネタにした漫才なども印象的だったかな。私があまり知らなかっただけですが、うれしい発見だった。
たけ平と同様に真打昇進予定のぼたん『松山鏡』も、一見地味な印象の中に妙なる色気と独特の可笑し味があってなかなか結構だった ー というのは、女流の中では多分今一番好きな噺家なので、多少のひいき目はあるが。
まあこういう会なので、マジックや曲芸も含め全体的にテンションが高めで息をつく間がなく、昼席だけでもふだんの寄席見物のときより多少の疲労感が残ったけれど、それもよい経験か。いや客人の案内ということで、朝の集合から寄席見物の最中ずっと呑んでたのも疲労感の原因だが……(という次第で、具体的な記憶はかなり欠けている) なおちなみに、この日は専ら一門のファンが集まるからか、大入りの割にはふだんの演芸ホールのような些か荒れた感じはほとんどなかった。携帯電話はたい平のときともうひとり誰かのときの、二度ほど鳴ってたけれども。
故初代三平のふたりの息子については、私はつい厳しい目で見てしまうのだが、この日は三平の漫談(楽屋話が中心)にいつものいやな暗さや滑舌の悪さがほとんど感じられず、また母親である海老名香葉子が乱入したり(お辞儀しただけですぐに引っ込んだ)、トリの正蔵が寄席の踊り(『こうもり』)を披露したりなど、なかなか楽しませてもらった。
とはいえ、いくらこういう会でも仲入り前とトリの両方が漫談っていうのもなあとは思うし、正蔵の踊りは格好をつけてるのか笑わせようとしているかが微妙でよくわからないところに居心地悪い印象があったけれど。あらま結局厳しい目で見てしまった。
以下、この日の演目。
(前座、林家あんこ、つる子、なな子、まめ平、あずみ、はな平には間に合わず)
林家たこ平・・・・・親子酒
林家ぼたん・・・・・松山鏡
林家たけ平・・・・・漫談
林家まる子・・・・・漫談
林家うん平・・・・・小言念仏
林家しゅう平・・・・袈裟と盛遠
林家ペタ子・・・・・ギター漫談
林家のん平・・・・・ぞろぞろ
林家かん平・・・・・寝床
林家英平・・・・・・マジック
林家錦平・・・・・・紀州
林家しん平・・・・・漫談
林家源平・・・・・・蝦蟇の油
翁家勝丸・・・・・・太神楽
林家三平・・・・・・漫談(香葉子乱入)
(仲入り)
林家ライス・カレ−子
・・・・・・・・・環境漫才
林家たい平・・・・・漫談
林家鉄平・・・・・・漫談
林家種平・・・・・・お忘れ物承り所
三増紋之助・・・・・曲独楽
林家正蔵・・・・・・漫談、寄席の踊り(こうもり)
2015年08月31日
第三十四回 初代林家三平追善興行
posted by aokiosamublog at 23:00| 落語/演芸