2015年10月16日

浅草演芸ホール10月中席

浅草演芸ホール( http://www.asakusaengei.com/ )、昼の途中から夜の途中まで。他の寄席に比べて時にお客の傍若無人さが目立つ浅草だが、この日も川柳『ガーコン』が軍歌時代からジャズ時代に差し掛かって口三味線ならぬ“口ビッグバンド”が始まったまさにそのときにずかずか入場してきて最前列の高座真正面に座ろうとする老婦人ふたりとか(しかも席に着くなり舞台の端に傘を引っ掛けた)、昼のトリの花緑が高座に着いてマクラを始めたとたん席を立って帰るお客多数とか、そんな光景が繰り広げられていた。

が、川柳しろ花緑にしろ、この日はそんなお客のいじり方が見事。川柳は半ば叱り口調でお客の非礼を咎めつつ、それをもちろんその他のお客に通じるような気持ちのよい笑いに転じていたし(もっともそのためか、「ガーコン」まで辿り着かずに時間切れだった)、花緑もトリの自分のときに帰るお客に動揺した振りをしながら声をかけつつ、場を暖めるマクラの一部にうまいこと取り入れていたり。

むろん、寄席の風景としてはお馴染みとも思うが、6年ほど前だったか、花緑が新宿末廣亭でトリを取ったときに、最前列の高座真正面に座っていたご老人が花緑のマクラが始まったとたんそよそよと帰ってしまったことがあり※、そのときの花緑のうろたえ振りを思い出してあの頃よりこういう場合のあしらいがうまくなったのだなあ、などという感慨が浮かび、改めて寄席という場所ならではの“お客込み”の味わいに気付いた次第。

※そのときの模様は拙著『寄席手引』(電子書籍)の中で描写している。
http://www.aokiosamu.jp/blog/2016/03/post_266.html

昼の三三『釜泥』に花緑『火焔太鼓』、夜の天どん『堀の内』にしん平のグルメブームを思いっきり揶揄うような漫談などを筆頭に、短い滞在時間の割には笑いの質・量ともに圧倒される内容だった。私個人の趣味ではなかなか好きになれない正蔵もこの日の漫談は意外に心地よく耳に届いたし、小円歌の『見世物小屋』も聴くことができ、次の用事までの時間潰しにちょいと覗いてみただけなのにずいぶん贅沢をしたなと思う。

以下、この日の演目。

-昼席
春風亭一之輔・・・・真田小僧
花島世津子・・・・・奇術
川柳川柳・・・・・・歌は世につれ
柳家小さん・・・・・家見舞
(仲入り)
柳家三三・・・・・・釜泥
すず風にゃん子・金魚
 ・・・・・・・・・漫才
柳家小里ん・・・・・たらちね
入船亭扇遊・・・・・引越しの夢
三遊亭小円歌・・・・三味線漫談
柳家花緑・・・・・・火焔太鼓
-夜席
春風亭一猿・・・・・寿限無
林家正蔵・・・・・・漫談、小噺
林家ぼたん・・・・・子ほめ
アサダ二世・・・・・奇術
三遊亭天どん・・・・堀の内(湯屋の場面のみ)
隅田川馬石・・・・・狸の恩返し
ペペ桜井・・・・・・ギター漫談
林家しん平・・・・・漫談
posted by aokiosamublog at 23:00| 落語/演芸