2018年12月31日

12月まとめ(21〜31日)

12月21日(金) 昼頃起床→午後八兆でそば手繰ってから砧公園まで散歩。四家卯大の路上コンサートを聴きに行く。公園の広い空間の中での演奏で、集中して聴くという環境ではないのだが、子供、犬、自転車、スケートボード、カラス、ご老人、通行人などの存在と音も音楽の一部となるような時間であった。天気もよくて気持ちのよい時間を過ごした。ご夫妻にもひさしぶりに会えてよかった→帰途も徒歩→風呂→『徳川いれずみ師 責め地獄』(石井輝男。片山由美子、田中春男、藤本三重子、林真一郎、吉田輝雄、橘ますみ、小池朝雄、上田吉二郎、人見きよし、由利徹、大泉滉、小田切恵子、水上富美、賀川雪絵、尾花ミキ、若杉英二、ユセフ・ホフマン、ハニー・レーヌ。1969、東映)。面白くはあったが、このシリーズはバカ映画のようでいて話の展開と絵の異常さを十二分に味わうのに普段使わないような集中力を要求されるので、続けて観るものではないかもしれない(今回続けて観た二作がオムニバス形式だったので、そのつもりで観始めた所為もあるかもしれない)。とはいえ白塗り与力の田中春男の意外に押さえた芝居には笑ったし、畜光塗料を使った彫り物合戦の顛末から最後の竹を使った股裂きの刑までの展開も笑ってしまった→『ミッツ・メッケンのマン&チキン』(原題『Mænd og høns』、監督:アナス・トマス・イェンセン。ダーヴィッド・デンシック、マッツ・ミケルセン、ニコライ・リー・コス、ソーレン・マリン、ニコラス・ブロ、オレ・セストラップ、ボディル・ヨルゲンセン、リズベット・ダール。2015、丁)。デンマーク映画を観るのは初めてではないかな。監督のアナス・トマス・イェンセンは脚本家としても有名だそうだが、なんとも言えない変な世界が創り上げられていた(物語の発想としては観たことがないというわけでもないが、語り口と合わせると特異な世界だと思う)。それでいて最後はなんだか感動しないといけないような展開になるのも面白かった→午前0時半就寝。
12月22日(土) 昼頃起床→『イパネマの娘』の編曲というか構成作り。あと『Wave』と『黒いオルフェ』のコード調べやイパネマの日本語詞探しなど→風呂→TVのインチキ超常現象番組見ながら一杯→すぐ寝るつもりが二時間くらいギター弾く。まあよい酔い覚まし→午前一時就寝。
12月23日(日) 午前11時起床。慌てて着替て、まずは遠州屋で伊根満開を二本購入→新宿に出て伊勢丹で錦松梅(賞品用と自宅用)購入→紀伊国屋地下のCloveでカレー。ここは初めてかもしれない→丸ノ内線で新高円寺。ちんとんしゃんの忘年句会。「老歌手の艶消えし唄で年忘れ」「背中から初日を浴びる日本海」「柚子切りの色香でひとり息をつく」の三句を出したが、今回は残念ながら特選取れず、賞品なし→酒席はそこそこで切り上げてA澤邸に移動するつもりが、二次会のボウリング大会まで参加してしまった→A澤邸には夜8時過ぎ到着。もう飲むも食べるもたくさんだったが、鶏のもみじと鴨の首がうまくて、結局けっこう飲んだ。ここまでくると、もう楽しかったことしか覚えていない→タクシーで帰宅。即就寝。
12月24日(月) 終日宿酔いと筋肉痛で横臥→夕方少し復活し、カップラーメンすすりながら週末の演芸番組を消化→ギター練習。『Wave』のコード弾きはなんとか弾けるようになった→風呂→またギター練習→『アパートの鍵貸します』(原題『The Apartment』、監督:ビリー・ワイルダー。ジャック・レモン、ジョアン・ショーリー、ナオミ・スティーヴンス、ジャック・クラシェン、レイ・ウォルストン、デイヴィッド・ルイス、シャーリー・マクレーン、ウィラード・ウォーターマン、イーディー・アダムス、フレッド・マクマレイ、ホープ・ホリディ、ジョニー・セヴン。1960、米United Artists)。当時のシャーリー・マクレーンの独特で深い魅力を再認識。あと、独身男性の部屋とベッドを他人が情事に使うというのは、今の感覚でいけば(利用者側にも提供者側にも)ないのではないかと思ったが、どうだろうか。何度観ても名画であることは認めざるを得ないが→朝方5時就寝。
12月25日(火) 朝9時半起床、白湯、栗の蜂蜜→『黒い傷あとのブルース』(原作:山野良夫、監督:野村孝。小林旭、郷えい治、東恵美子、松本染升、大坂志郎、吉永小百合、稲葉義男、金井克子、富田洋、女歌手、近藤宏、神山繁、深江章喜。1961、日活)。若い神山繁が実にいやーないい味を出している(この年代ならではだろう)。カッコいいはずなのになぜか可笑しい唐突なトランペット演奏とかしょぼい遊園地とか「震えが止まらねえぜ」という台詞のあとに動物園のペンギンがぶるぶるっと振るえるところが映ったりとか妙に可笑しい場面も多いが、土木工事現場での小林旭のアクションにはやはり感動。吉永小百合はいいほうの部類に入るのかなと思った。そしてこれでもかと人の弱さを表現する大坂志郎はやはり見事→ギター練習。『Wave』はさらに少しはこなれてきたかな。『黒いオルフェ』はコード進行だけは意外にすぐに覚えられた→一階の片付け(大掃除の一貫)。『ぱなし』は各号一冊ずつ残してあとは破棄。その他いろいろ→風呂→『新婚リーグ戦』(原作;中野実、監督:池田忠雄。佐野周二、山根寿子、坪内美子、日守新一、神田隆、木暮実千代、坂本武、山路義人、岡村文子。1947、松竹)。制作年から考えると信じられないくらいモダンで(という受け取り方にもいろいろな意味が生じるわけだが)、かつ複雑な男女関係の話なのにあっけらかんとした明るさに充ちているのがよかった。木暮実千代の、驚くくらいにさっぱりしていながら深い哀しみを感じさせる芝居があってこその映画だったかもしれない→『ヒルコ 妖怪ハンター』。(原作:諸星大二郎、監督:塚本晋也。沢田研二、上野めぐみ、竹中直人、工藤正貴、塚原靖章、佐野智郎、室田日出男、余貴美子、朝本千可。1991、松竹富士)。30年近く前の作品で、当時のCGなどの技術水準も考え合わせると、(失礼な言い方になるが、技術的な未成熟の特徴すらよく利用して)よくきちんと作ったなという印象。細かい部分の再現度はわからないし原作から落としたものの大きさや重さもわからないが、原作の(というか原作者の)独特のユーモアも含めてうまく映像化してあって、感心した。序盤過ぎ(18分くらいから)からずっとクライマックスのような作りなのに飽きさせないのもすごいなと思う。工藤正貴も上野めぐみ(深山凛)も若いのにいい役者だなと思ったが、今はふたりとも活動していない(と思われる)のが残念→夜10時頃就寝。
12月26日(水) 深夜起床→『下妻物語』(原作:嶽本野ばら、監督:中島哲也。荒川良々、宮迫博之、篠原涼子、本田博太郎、樹木希林、土屋アンナ、小池栄子、生瀬勝久、阿部サダヲ、岡田義徳、水野晴郎、まちゃまちゃ、矢沢心。2004、東宝)。『マリー・アントワネット』の二年前の作品と思うと、振り切れ方の違いに感心した(比べる意味があるかはわからないが思い出したので)。15年前の作品だが古びた感じや今となっては不足と思える部分もぜんぜんしないし、これは傑作と思った(私の気付かなかった傑作と認められない要素が仮にあるとしても、少なくとも記念碑的作品ではあろう)。岡田義徳の存在感が(割と重要な役なのに他と比べて)弱いのだけ残念だったかな→『嫌われ松子の一生』(原作:山田宗樹、監督:中島哲也。木村カエラ、伊勢谷友介、本田博太郎、片平なぎさ、柴咲コウ、瑛太、奥ノ矢佳奈、香川照之、ゴリ、マギー、中谷美紀、竹山隆範、谷原章介、甲本雅裕、市川実日子、柄本明、キムラ緑子、角野卓造、阿井莉沙、宮藤官九郎、谷中敦、劇団ひとり、大久保佳代子、BONNIE PINK、濱田マリ、武田真治、黒沢あすか、木野花、荒川良々、渡辺哲、山本浩司、AI、山下容莉枝、土屋アンナ、山田花子、あき竹城、嶋田久作。2006、東宝)。改めて観ると、埃の描写がすごい。それと次から次へと出てくる役者(本職でない人も含む)が(ひとりを除いて)みんなうまいのにも驚く。いろんな人が出てくるような物語の運び方/設計もうまいと思った。最初に観たときにえらく泣かされたのは、主に物語の設計と中谷美紀の芝居だろうな→朝方就寝→昼過ぎ起床→GENT&HONEYにて散髪。南青山の児童相談所の話などいろいろ聞く。やはり聞こえてくるように、騒いでいるのは地元の人ではなかったり、よくわからない一部の人のようだ。お土産に濁り酒いただく→北千住に出て乾物屋で買い物し、朝日軒で一杯→渋谷に寄ろうと思ったが眠くなったので千代田線で帰宅→なんとなくいただいた濁り酒を飲んだらうまくてひと瓶飲んでしまった。0時過ぎ就寝。
12月27日(木) 日中だるくて終日横臥。友人との昼食会を失敬してしまった→午後なんとか起き出し、クルマで特許の練習へ。新曲は間が空くと忘れてしまうが、今日でなんとかなったのかな。いつものてぃださんさんで軽く食べて帰宅→『島々清しゃ』(新藤風。伊東蒼、安藤サクラ、金城実、山田真歩、でんでん、渋川清彦。2017、東京テアトル)。すごい優しい映画だった。金城実は役者ではないがものすごい存在感。途中でみなが打ち解けるセッションの場面と、子供たちと金城実が一緒に演奏する場面ではうれしくて涙が出た。音楽というものの素晴しさを再発見させてくれた、とても美しい映画。子役伊東蒼の力量に驚いたが、『湯を沸かすほどの熱い愛』の子役だった→朝方就寝。
12月28日(金) 昼前起床→まことやでラーメン納め。かき塩が売り切れてて残念→魚真で正月のブツをいろいろ買い物。いいイカがあったのでこれは今日の晩用に購入→ようやくすずらん通りJUJUSUKEに寄ってO形のピアス購入。八九は開店前だったので諦めて後日にする→ギター練習。『Wave』は目鼻がついたので録音も開始→風呂さぼって飲み始め。昨日観て感動した『島々清しゃ』をもう一度→『ポーキーズ』(原題『Porky's』、監督:ボブ・クラーク。ダン・モナハン、マーク・ヘリアー、ロジャー・ウィルソン、ワイアット・ナイト、カーキ・ハンター、トニー・ガニオス、ナンシー・パーソンズ、キム・キャトラル、ダグラス・マクグラス、ボイド・ゲインズ、シリル・オライリー、スーザン・クラーク、アート・ヒンデル、チャック・ミッチェル、スコット・コロンビー。1981、米20th Century Fox)。それなりに楽しく観たが、思ってたよりバカ度が足りなかったような気がした。続編二作はどんな感じなのだろうか→『Wave』の参考音源作ってから就寝。午前3時頃。
12月29日(土) 昼過ぎ起床→『黒いオルフェ』のギター練習と構成検討。これはどうにでもなりそう→風呂掃除(大掃除)→晩のお供に『ポーキーズ』→『黒いオルフェ』のベース練習(出だしベースで主旋律弾く編曲にしようかと思ったので)→午前2時頃就寝。
12月30日(日) 朝5時起床、粥→『アンジェリカの微笑み』(原題『O Estranho Caso de Angélica』、監督:マノエル・ド・オリヴェイラ。リカルド・トレパ、アデライデ・テイシェイラ、アントニオ・レイス、レオノール・シルヴェイラ、ピラール・ロペス・デ・アジャラ、リカルド・アイベオ、ルイス・ミゲル・シントラ、スザーナ・サ、アナ・マリア・マガリャンエス。2010、葡西仏伯Zon Lusomundo Audiovisuais)。生と死と愛を軸に描いた幻想譚。ポルトガル人の感覚が私には珍しいからだろうか、妙なる柔らかい明るさと可愛らしさがあって、ユダヤ人への迫害も含めて死を見つめた映画なのに深刻さはほとんど感じなかった。主人公の下宿の同宿人たちが静かにおせっかいなのも、そう思わせられた要因だろうか。全体に静かで動きの少ない映画だが、鮮やかな場面がいい間で挿入されるのも印象に残った。絵画的な絵造りも印象的だったが、室内の場面には(国は違うが)ヴィルヘルム・ハンマースホイを思い出した→午後経堂に出て、しらかめで年越し蕎麦受け取り、昼食(しらかめは食事営業しておらず花坊も閉まった直後だったので駅前地下飲食街の中華そば屋を試したが少し感じ悪くて味は普通)、遠州屋、ピーコック、河内屋、八九、アダン、梅田青果と巡回。八九ではなんだか楽しくて長居してしまった→買い物をいろいろ片付けてから午睡→0時起床。雑煮の出汁取りつつ、『博奕打ち 総長賭博』(山下耕作。金子信雄、佐々木孝丸、鶴田浩二、名和宏、藤純子、三上真一郎、小田部通麿、若山富三郎、桜町弘子、服部三千代、曽我廼家明蝶、曽根晴美。1968、東映)。男の意地、義理と人情の板挟みなどが任侠映画のお手本のように組み上げられた作品と思った。その中で地味ながら艶やかな桜町弘子が印象に残る。夫(鶴田浩二)の兄弟分(若山富三郎)の愚行を止めながらも男の意地を通させてやる一瞬の場面にじわっと泣いた。金子信雄と佐々木孝丸のわかりやすい老獪さもよいな→『衝撃!売春都市』(内藤誠。渡辺文雄、菅原通済、内田朝雄、小松方正、中島ゆたか、その母、白石襄、梅宮辰夫、緑川アコ、菅野直行、内田勝正、名和宏、土山登志幸。1974、東映)。名和宏が黒い血を流すところは面白かったが(梅毒患者の血は黒く表現されるようだ)、全体に菅原通済を持ち上げ過ぎだったり(というか菅原通済が金出して作らせた啓蒙映画か?)、面白い工夫はあれどおざなりに見える場面が多かったり、見どころが少なかったり、言いたいことがとっ散らかった印象だったりで、なんだか手応えの薄い映画だった→朝6時就寝。
12月31日(月) 昼起床、昆布出汁→午後老父迎えに行き、家に招いて年越しそば。最近あまり飲まない様子だったが、今日は楽しかったのかふたりで一升瓶半分ちょっと飲んで、元気そうでなにより。会話もかなり弾んだ。夜7時頃お開き。タクシーを呼んでお見送り→しばし仮眠→日付が変わる前に起きて、一年間に観た映画のことなどまとめてから、また朝まで飲酒。朝方就寝。
posted by aokiosamublog at 23:00| 小ネタ/思考/日記