2020年02月10日

2月まとめ(1〜10日)

2月1日(土) 深夜起床→熊本取材行程見直し。大枠は固まったかな→『監獄アマゾネス/美女の絶叫』(原題『Reform School Girls』、監督:トム・デ・シモーネ。リンダ・キャロル、シェルリ・ストウナー、ロビン・ワトキンス、ローリー・シュワルツ、シャルロット・マクギニス、パット・アスト、ウェンディ・O・ウィリアムス、アンドレア・ダーネリ、デニス・ゴーディ、シビル・ダニング、ジェイムズ・スタスキール。1986、米New World Pictures)。なんでこんな映画を買い付けて放映したのだろうか、と言いたくなるようなどうでもいい映画だった。女子少年院の中でみんな派手な下着姿というのは面白かったし、普段日の目を見ない役者がそれなりに力一杯頑張っているようなのも面白くはあったが(特にウェンディ・O・ウィリアムスとパット・アスト)、女囚ものはやはり日本のほうがいろいろ工夫があってよくできているなと再認識。でもこれはこれであまりにバカ映画で面白かった→熊本ラーメンのことを調べてたお陰でラーメンが食べたくなり、朝食に即席ラーメンに胡麻たくさんとニンニクと葱を炒めたのを乗せて食べたら(生卵も入れた)、まあそういう欲は治まった。でもやはりあのすっきりとした豚骨スープが飲みたい→朝8時半いったん就寝→昼過ぎ起床→『マッド・ダディ』(原題『Mom and Dad』、監督:ブライアン・テイラー。アン・ウィンターズ、ロバート・T・カニンガム、ザカリー・アーサー、セルマ・ブレア、ニコラス・ケイジ、シャロン・ジー、アディン・ステッキアー、オリヴィア・クロチッチア、ジョセフ・D・ライトマン、ブリオン・デイヴィス、レイチェル・メルヴィン、ボビー・リチャード、リラ・テローネ、ランス・ヘンリクセン。2017、米Momentum Pictures)。とつぜん親が子供を殺したくなる、というシンプルな設定ながら、話の組み立て方がうまくて引き込まれる。といっても徒に複雑にするわけではなく、可能な限りシンプルでわかりやすく構成しつつストンストンと巧い落としどころを用意して、ときにはアッと思わせたり笑わせたりする。ニコラス・ケイジの変な可笑しさもそうした味わいに寄与していると思った。思わぬ佳作→『エル ELLE』(原題『ELLE』、原作:フィリップ・ディジャン、監督:ポール・ヴァーホーヴェン。イザベル・ユペール、ジョナ・ブロケ、アンヌ・コンシニ、ユーゴ・コンツァイマン、アルチュール・マゼ、ルカス・プリゾ、マリエ・ベルト、母、ラファエル・ラングレ、ヴォリジニー・エフィラ、ロラン・ラフィッテ、シャルル・ベルリン、クリスティアン・ベルケル、アリス・イザーズ、ヴィマラ・ポン、ステファン・バク。2016、仏SBS Distribution)。いきなり主人公女性が強姦される場面から始まり、観ているうちに主人公を取り巻く人間関係もいろいろな問題があることがわかってきて、それでもまあそんなもんでしょうよとばかりに生活していく主人公の佇まいが印象的だった。そう生きるべきという主張があるわけではなく、観ているほうもそう思うわけでもなく、そうした塩梅が面白かったのかもしれない。そういう意味では主題がぼやけている映画であるような気もしたが、それでいて観る者を惹き付ける映画というのも撮ろうとして撮れるもんではないなと思った。という点で結構な傑作と思う→夜10時頃就寝。
2月2日(日) 深夜起床→録画しておいたNHKのドキュメンタリーを二本見る。一本は『SONGS「鬼束ちひろ 20年の歩みを赤裸々に語』。鬼束ちひろは面白かったし歌をしみじみ聴いたのも初めてで心動かされたが、ドキュメンタリーとしては突っ込みが浅かったかな。もう一本は『ETV特集「人知れず表現し続ける者たちV」』。各々が絵を描き始めた背景とか、絵を描いてないときはなにをしているんだろうとか、心残りは多々あるものの(しかしそれを追うのは難しい取材対象とも思う)、登場する幾人かは子供の絵を描きたい衝動を保ったまま長年続けることで表現がより深くなってゆく様を見ることができたのが面白かった。関島岳郎の音楽も映像をちょうどよく支えていて素晴らしい→朝6時いったん就寝→昼頃起床→『フリービーとビーン 大乱戦』(原題『Freebie and Bean』、原作:フロイド・マトラックス、監督:リチャード・ラッシュ。ジャック・クラシェン、ジェームズ・カーン、アラン・アーキン、ポール・コスロ、キャサリン・ウィット、ロレッタ・スウィット、マイク・ケリン、アレックス・ロッコ、ジョン・ガーウッド、ロバート・ハリス、リンダ・マーシュ、ヴァレリー・ハーパー、クリストファー・モーリー、モンティ・スティックルズ、ジョン・パワーズ、テリス・ホール、ビル・シャノン、ホワイティ・ヒュージズ。1974、米Warner Bros. )。町山智浩の解説を聞けば確かにその通りなのだが、しかしそれを期待して観たらテンポや間の悪さ、話の整合性、ギャグの生温さや切れ味の悪さなどが気になってしまった。この映画の面白さの本質がどこにあるのかわからなくなってしまったというか。映画自体の感想とは関係ないが、冒頭の解説は飛ばして観たほうがいいな。面白さの本質を探しながら観るほうが自分には向いている→風呂→『笑点』『贋作男はつらいよ』『ETV特集「人知れず表現し続ける者たちV」』など見ながら飲酒と晩→熊本取材旅行に備えて、以前から懸案だった携帯用血圧計を物色し、シチズンの手首式をヨドバシカメラに注文→夜11時頃就寝。
2月3日(月) 午前2時半起床→大磯向けBGM第二弾を考えていたことを思い出し、ふと浮かんだものを譜面にメモ→『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(原題『Stranger than Paradise』、監督:ジム・ジャームッシュ。エスター・バリント、ジョン・ルーリー、リチャード・エドソン、ロケッツ・レッドグレア、ハーヴェイ・ペルー、ブライアン・J・バーチル、リチャード・ボース、セシリア・スターク、ダニー・ローゼン、ポール・スローン、ラメルジー、サラ・ドライヴァー、トム・ディチロ。1984、米The Samuel Goldwyn Company)。二十歳やそこらで観たからまだ身に染みているのか、今観てもしみじみよい。そして今観ると、当時までのアメリカの主流の映画をさかしまにしたように、事件も起きず、セックスの匂いもなく、景色もよくなくあるいはよい景色も艶消しに撮り、話は弾まずずっと気まずくて、ロードムービーでもあるはずなのに心躍るような景色もなく、しまいには死人が寝ているベッドを三人が見つめているような構図まで出て来て、しかしそれなのにずっと惹き付けられて、しかも可笑しい。そこらにいる人間の可笑しさを愛情を持ってずっと眺めている人でないとなかなか撮れない映画ではないかなと、改めて思った→『ダウン・バイ・ロー』(原題『Down by Law』、監督:ジム・ジャームッシュ。ジョン・ルーリー、ビリー・ニール、ティモシア、トム・ウェイツ、エレン・バーキン、ロケッツ・レッドグレア、L・C・ロレーン、キャリー・リンゾー、ロベルト・ベニーニ、ヴァーナル・バグネリス、ニコレッタ・ブラスキ。1986、米Island Pictures)。前作『ストレンジャー・ザン・パラダイス』と比べると、旧来の映画への多少の拒否感を醸し出しつつ、アメリカ映画のおいしい要素をふんだんに取り入れて撮ったという印象。それでいて初見時には前作と印象が大きく違わなかったのは、絵造りの妙味か。あと間の可笑しさもあるか。前作ではそれほど感じなかったが、今作では詩を意識したのではないかという部分が多かったと思った→午前9時就寝→午後4時起床→『ミステリー・トレイン』(原題『Mystery Train』、監督:ジム・ジャームッシュ。永瀬正敏、工藤夕貴、ルーファス・トーマス、スティーヴ・ブシェーミ、スクリーミン・ジェイ・ホーキンス、サンキ・リー、トム・ウェイツ(声)/ニコレッタ・ブラスキ、サラ・ドライヴァー、サイ・リチャードソン、トム・ヌーナン、エリザベス・ブラッコ、スティーブン・ジョーンズ/ジョー・ストラマー、ヴォンディ・カーティス・ホール、リック・アーヴェイルズ、ロイヤル・ジョンソン、ロケッツ・レッドグレア。1989、米Orion Classics)。さすがに前二作で感じた新鮮味はないが、オフビートな世界の中に人間の可愛らしさと可笑しさを描くジャームッシュ節が完成したという趣き。サム&デイヴのデイブのギャグは、『パターソン』でも同じようなパターンを使っていたな→晩はO形の買ってきてくれたカツカレー弁当を半分だけ。それと大根サラダ小皿ひと皿にビール中瓶一本→『舞妓三銃士』(天野信。小町瑠美子、江島みどり、峰幸子、花菱アチャコ、上久保武夫、伊達三郎、千葉登四男、小林加奈枝、越川一、楳崎宏樹、仲上小夜子、前田和子、浪花千栄子。1955、大映)。ひたすら可愛らしい映画。絵造りも観ていて心地よい。ただそれだけと言えばそれだけだが、今現在この種の映画は皆無だろうから、残しておく価値はあると思う→風呂→『ボーイフレンド』(原題『The Boy Friend』、原作:サンディ・ウィルソン、監督:ケン・ラッセル。ツイッギー、ブライアン・プリングル、モイラ・フレイザー、クリストファー・ゲイブル、バーバラ・ウインザー、トミー・チューン、マレー・メルヴィン、マックス・エイドリアン、ウラデク・シーバル、グレンダ・ジャクソン。1971、英MGM-EMI)。ひさびさにケン・ラッセルを観ると、途中でもういいやと思ってしまうくらい、よく言えば豊穣、悪く言えばしつこい。本作ももっと程よい塩梅で作れるはずだが(せめて女優を美しく撮るとか)、しかし観終えるとぐったりしつつ、またあの悪夢のような世界を耽溺したいと思ってしまう。不思議だ→午前3時就寝。
2月4日(火) 午前9時起床、白湯、マヌカハニー、メイプルシロップ。ようやく日常に戻った感じ→11時に出立し、小田急線から千代田線と乗り継いで根津下車。東照宮の辺りから上野公園に入り、〈東京都美術館〉にて『ハマスホイとデンマーク絵画』を見物。「デンマーク絵画」のほうが見応えがあり(主にスケーイン派の漁師たちや海辺を描いた絵が印象に残った。あとユーリウス・ポウルスンの『夕暮れ』など)、ハマスホイは人物や風景中心で、妻の後ろ姿や誰もいない室内(画面の奥の扉が開け放たれていたり、手前の机の脚が一本足りないように見えたり)の絵が少なかった印象。その辺は前回の図録と見比べてみようと思う。いつものように一周めはさーっと見て、エレベーターで地下一階に降りて(この点が〈東京都美術館〉に対して不満に思うところ)二周めに入ったところで、お揃いの黄色い帽子をかぶった小学生の団体に出会し、結果、風景画などはすべて菜の花畑を介して眺めた風景のような印象になってしまったが、それはそれで面白かった→〈東京都美術館〉内の〈精養軒〉(レストラン・ミューズ)で昼→アメ横に降りてまずいつもの乾物屋で買い物と思ったら休みだったので、近くの茶と海苔の店で買い物。それから〈大津屋商店〉でスパイス類購入し、湯島から平和に電車で帰宅→ひと休みしてから賄い当番。いつものチャナダールと、あと大根と春菊のラッサム(豆なし)、ニンジンのバタークミンソテー、新玉葱のスパイスと酢の和物(クミン、パプリカ、コリアンダー、白ワインビネガー、バルサミコ酢)などを作成。ラッサムはチリパウダーが多かった→『カルメン故郷に帰る』(木下惠介。坂本武、望月美惠子、佐田啓二、磯野秋雄、小池清、城澤勇夫、佐野周二、笠智衆、井川邦子、小沢栄、三井弘次、高峰秀子、小林トシ子、山路義人。1951、松竹)。三十数年前に初めて観たときにはそう思わなかったが、今回改めて観てみると、人間と田舎というものをとても残酷に見て描いた映画だなと思った。田舎者をかなり容赦なく描いていると感じたのだが、それでもなお温かい目線があるところに驚く。それにしても、日本初の総天然色映画の題材としてこれを考えた監督と、それを許した会社や製作陣がほんとうは何を考えていたのかを知りたいと思った→夜0時就寝。
2月5日(水) 朝8時半起床、白湯、マヌカハニー、メイプルシロップ。昨夜は日付またいだところで目が覚めてしまったが、そのまま寝床を出ないようにしていたら、明け方になってからなんとか眠られて朝起きることができた→写経→まだ催促は来ていないが、思いついたので『かりら』のプロフィール・近況と編集後記を書いておく→午睡→風呂→午後4時半、クルマで老父を迎えに行き、久々に〈三鷹ドラゴン〉にて会食(老父の卒寿祝いを兼ねて)。誂えたのは三鷹産スティックブロッコリー炒め、干貝柱とレタスの広東風炒め、ドラゴン餃子、鶏のから揚げ、海老帆立入りスペシャルカニ玉、焼豚五目炒飯、野菜肉入り五目ビーフン。炒飯と麺類以外は小皿が頼めるので、いろんな種類を取ることができ満足。老父も結構な勢いでおいしそうに食べていてひと安心(ただし酒はビール二杯弱くらい)。我々も大満足。炒飯とビーフンは折にしてもらった。熊本の話がいろいろ聞けたのも有り難い→老父買い物につきクリエイトに寄ってから送っておいとま→帰途灯油とガソリンを購入。いきなり強い北風が吹いてて驚く→夜7時過ぎ無事帰宅→一杯やりながら『わるいやつら』(原作:松本清張、監督:野村芳太郎。片岡孝夫、松坂慶子、小沢栄太郎、藤真利子、米倉斉加年、梶芽衣子、宮下順子、藤田まこと、西田珠美、香山くにか、横武義弟、神崎愛、山谷初男、雪江由記、神山寛、稲葉義男、梅野泰靖、小林稔侍、滝田裕介、緒形拳、佐分利信、渡瀬恒彦、森英恵。1980、松竹)。とにかく宮下順子にゾクゾクさせられた(後半に入って殺されたと思ったら、終盤で出て来てまたゾクゾク)。松坂慶子、藤真利子、梶芽衣子はもちろん、西田珠美や雪江由記に至るまで魅力的に撮られていたが、とにかく女の人の怖さと儚さを嫌というほど味わえる映画だった。同時に80年代に入ってダサくなっていく日本の記録という一面も味わえた→夜0時頃就寝。
2月6日(木) 朝7時半起床、白湯、マヌカハニー、みかん、メイプルシロップ→『鬼畜』(原作:松本清張、監督:野村芳太郎。岩瀬浩規、吉沢美幸、石井旬、小川真由美、緒形拳、岩下志麻、蟹江敬三、穂積隆信、大滝秀治、加藤嘉、田中邦衛、三谷昇、鈴木瑞穂、鈴木誠一、松田史郎、大竹しのぶ、山谷初男、浜村純。1978、松竹)。肺腑をえぐられるような想い、というのはこの映画で初めて味わったような気がする。その印象は、40年経ってから見ても変わらなかった。子役岩瀬浩規の芝居(と彼への演出)の素晴しさも再確認。忘れていたのは小川真由美のものすごさかな→写経→『喜劇 各駅停車』(原作:清水寥人、監督:井上和男。森繁久彌、山茶花究、石井伊吉、三木のり平、千草恵子、名古屋章、岡田茉莉子、左卜全、南利明、森光子、守田比呂也、佐原健二、若水ヤエ子、森繁建。1965、東宝)。あちゃらか喜劇かなと思っていたら(三木のり平がおでんんの蛸を食べ過ぎてお腹を壊したり、憧れの看護婦にあっさり振られたりなどの軽い笑いもあるが)、意外にもどっしりとした男の友情(機関士=森繁と助手=のり平)を感動的に描いた映画だった。ふたりを支えるような機関士の妻(森光子)と、ふたりが集うおでん屋の女将(岡田茉莉子)のやさぐれっぷりの塩梅もよい。わからず屋のようでいて最後にしっかりと物語を〆る山茶花究がまた素晴しい。いい映画だった→『楢山節考』(原作:深沢七郎、監督:木下恵介。東野英治郎、田中絹代、市川団子、高橋貞二、望月優子、宮口精二、伊藤雄之助、小笠原慶子、鬼笑介、三津田健、織田政雄、小林十九二、西村晃、末永功、本橋和子。1958、松竹)。芝居仕立ての演出も見事だったが、田中絹代と望月優子の芝居も圧巻だった。高橋貞二と伊藤雄之助もすごかったが、この映画で特筆すべき効果をもたらしていたかどうかはわからない。今さらながら、この映画と鈴木清順のフィルム歌舞伎との比較などをきちんと書いた批評は存在するのだろうか。あるなら読んでみたい→午後中映画を見ながら飲み、晩をこさえてはまた飲んだ。夜10時頃就寝。
2月7日(金) 朝7時半起床(夜中二回ほど覚醒)、白湯、マヌカハニー、みかん、メイプルシロップ→『無鉄砲大将』(原作:一条明、監督:鈴木清順。和田浩治、清水まゆみ、糸賀靖雄、木下雅弘、高品格、富田仲次郎、荻志郎、葉山良二、芦川いづみ、佐川ミツオ、菅井一郎、山岡久乃、小沢昭一、野呂圭介、クリスタル・シスターズ、江幡高志、松下達夫。1961、日活)。画面の中で会話しているふたりの微妙な距離感、話者をなかなか映さないのにふとそっちにパンする間合いなどなど、清順節が細かいところで多数まあまあ炸裂していて楽しい。進行ヤクザの親分(富田仲次郎)が放つ「勝手なことを言うのが私たちの商売ですよ」という台詞には笑った。あと佐川ミツオ(当時)の『ゴンドラの唄』が軽くてよかったな→『かりら』校正第二弾→写経→『地下街の弾痕』(森一生。上田寛、阿部九洲男、志村喬、二本柳寛、大伴千春、二本柳寛、伊達三郎、高田稔、近衛敏明、京マチ子、菅井一郎、小林叶江、玉置一恵。1949、大映)。キャバレーでの京マチ子の踊りは素晴しかったが、あとは可もなく不可もなくの印象。警察内部に犯罪一味の人間がいたのは虚を突かれたが、被害者の身内の京マチ子か、あるいは主人公の旧友の新聞記者(近衛敏明)くらいが犯罪に絡んでないと、今となっては意外性に乏しいように思えてしまった→『北上夜曲』(中島義次。松原智恵子、小高雄二、川地民夫、田中筆子、久松洪介、近藤宏、南寿美子、相馬幸子、武藤章生。1961、日活)新人の頃の松原智恵子がまだ丸顔で可愛らしい。東京に出て行った川地民夫の学帽をかぶる松原智恵子、北上川の映像を背景に啄木石碑の周りをくるくる回る松原智恵子、もう可愛いくてたまらん。『北上夜曲』がモチーフの歌謡映画なので、暗く重い映画かなと勝手に思ったが、故郷での淡い初恋(および恋の鞘当て)と東京のムンムンとしたお色気を塩梅よく配置した、心地よい軽みのある映画だった→夕方〈夢亀らーめん〉へ、熊本取材前のご挨拶も兼ねて。写真や往時の暖簾などを見せていただき(暖簾はお借りした)感謝。ひさびさの熊本ラーメンもうまかった→帰宅後うとうと→風呂→『タモリ倶楽部』その他深夜番組見て一杯やってから就寝。午前2時半。
2月8日(土) 昼12時起床、白湯、マヌカハニー、みかん、メイプルシロップ→『てんやわんや次郎長道中』(森一生。市川雷蔵、藤原礼子、喜味こいし、平参平、坪内ミキ子、島田竜三、夢路いとし、柳谷寛、南都雄二、天王寺虎之助、藤田まこと、名和宏、寺島雄作、姿美千子、芦屋雁之助、芦屋小雁、ミヤコ蝶々、茶川一郎、伊達三郎、白木みのる。1963、大映)。基本的には市川雷蔵と藤原礼子を魅力的に見せる、というだけの映画と思う。それと、見るときどきの心持ちによっては大阪の笑いが鬱陶しくもあるが、それでも市川雷蔵と藤原礼子の魅力で観させられてしまう→『大笑い江戸っ子祭』(斎藤寅次郎。雪村いづみ、佐々十郎、小原新二、翼ひろみ、坊屋三郎、三木のり平、環三千世、西川鯉次郎、益田キートン、内海突破、平原小夜美、富松千代志、夏目俊二、朝雲照代、有島一郎、若水ヤエ子、富松千代志、山茶花究、立原博、トニー谷、柳家金語楼、汐風亭子、古川緑波、宮坊太郎、丘寵児、坪内美詠子、森川信、榎本健一、西岡タツオ、八波むと志、南都雄二、ミヤコ蝶々、藤間紫、西川ヒノデ、堺駿二。1959、東宝)。『富久』『道具屋』『芝浜』『たらちね』『だくだく』『夏泥』などをちりばめた喜劇だが、落語のネタをそのまま映像にしているだけに見えて東京の喜劇だけにさすがに落語の呼吸が全体に息づいていて、観ていてとても心地よい。三木のり平に有島一郎はじめ、役者たちも活き活きしている。いきなり雪村いづみが歌い始める冒頭も素晴しい(途中と終幕も)。しかし一番可笑しかったのが、藤間紫の『たらちね』だった。泣きたくなるほど嬉しい気持ちになる映画→確定申告書を印刷し郵送準備。今年から源泉徴収票の添付が必要なくなったと今さら知る。今年もマイナンバーとやらを書かずに出すが、さてどうなるか→写経→夜ひさびさに〈エンド・ロール〉へ(昨年末以来、というか本年初か)。Jちゃん夫妻と会食、まずは寒かったのでホットワインで始め、ジョージアの泡(ベティアン・ナチュール 2018。ジョージアで初のベティアンをつくった人のワイン、とのこと)を瓶で。これがさっぱりしていながらなかなかの味わい。料理はいつもの人参のムースコンソメジュレ甘エビ添えで始まって、グリーンピースそら豆苺のサラダ、サザエときのこ香草バター焼き、白レバーペーストパンデビス、ゴルゴンゾーラのクリームパスタ・オレキエッテ。途中で甲州の赤葡萄酒洗馬せば(カルベネフラン)をグラスで追加。〆はピスタチオのプリン、青カビのアイスクリーム、ブルーベリーのアイスクリーム、タルトタタンを皆で。今日もおいしかった。ゆっくり飲んで食べて、三時間半。実のある話がなにも出なかったのもよい→いつものパンをお土産にして帰宅→一杯やりながら『翔んで埼玉』(原作:魔夜峰央、監督:武内英樹。魔夜峰央、ブラザートム、麻生久美子、島崎遥香、GACKT、二階堂ふみ、加藤諒、中尾彬、武田久美子、伊勢谷友介、益若つばさ、麿赤兒、益若つばさ、小沢真珠、京本政樹、JAGUAR、竹中直人、ふなっしー、成田凌。2019、東映)。まったくなにも期待していなかったが、役者がみなこういう映画だからこその楽しそうな点がとてもよかった(芝居の力のない島崎遥香と加藤諒以外)。こうしたらもっと…… という感慨はもちろんあるが、意外に楽しめてしまったことは明確に記しておきたい→再度の〆に即席ラーメン1/2啜って就寝。午前2時頃。
2月9日(日) 昼9時起床、白湯、マヌカハニー、みかん、メイプルシロップ→朝食後写経→チャー版の『Manic Depression』のコードと構成、ドラムの基本パターンやフィルインが入る場所などを確認し譜面にメモ→フジTV『ザ・ノンフィクション はぐれ者で生きていく 〜借金とギャンブルと夢の行方〜』見て、快楽亭の厳しさと優しさに少し泣く→『カタクリ家の幸福』(原案:映画『クワイエットファミリー』、監督:三池崇史。丹波哲郎、宮崎瑶希、西田尚美、武田真治、沢田研二、松坂慶子、竹中直人、塩田時敏、忌野清志郎、遠藤憲一。2002、松竹)。面白くなりそうな(というか個人的に好みな)要素が、役者の揃え方もバカバカしいミュージカル仕立てもクレイアニメーション?を使った演出もいろいろ揃っているのだが、なんだか「こういう風にしたら面白いでしょ?」と頭で考えたような感じが強くて、まったく入り込めなかった。同じようなバカバカしさを目指した(と思われる)『翔んで埼玉』みたいな振り切れ方とどういう点が違うのだろうな、ということに興味を持った→つまらなくて途中で眠くなり脱落。午前1時頃就寝。
2月10日(月) 昼9時起床、白湯、マヌカハニー、みかん、メイプルシロップ→『カタクリ家の幸福』復習。やはりつまらなかった→写経→チャー版の『Manic Depression』のドラム譜(コード付き)の作業一応完了(フレーズのコピーはかなりいい加減だが、構成やオカズ入れるポイントがわかればよいので)→『ビリディアナ』(原題『Viridiana』、監督:ルイス・ブニュエル。シルヴィア・ピナル、ロジータ・ヤルツ、テレシータ・ラバル、フェルナンド・レイ、マルガリータ・ロサーノ、ホセ・カルヴォ、ホアキン・ロア、ロラ・ガオス、フランシスコ・ラバル、ヴィクトリア・ジニー。1961、西白CCB)。ブニュアエルが故国スペインを決定的に去ることになった作品、ということでよいのかな? 今観てもそれほど衝撃的な印象はないのだが(キリスト教徒でなくても衝撃的な作品はたくさんある)、当時の信者の気持ちになって観ると宗教的な救いがなく、ダ・ヴィンチの描いた「最後の晩餐」の光景をおちょくり、しまいには敬虔な信者が世俗に降りる心を決めるという話はやはり許容できないものだったのだろうということは理解した→風呂→『白い家の少女』(原題『The Little Girl who Lives Down the Lane』、原作:レアード・コーニグ、監督:ニコラス・ジェスネル。ジョディ・フォスター、マーティン・シーン、クレッソン・グッドヒュー、ヒュバート・ノエル、ジャック・ファメリー、アレクシス・スミス、ドロシー・デイヴィス、モルト・シューマン、スコット・ジャコビー。1976、加仏Astral Films/CIC)。シンプルな話ながら、不思議な雰囲気があってそこが印象に残ったが、その雰囲気の大部分はジョディ・フォスターが醸し出しているのではないかとは思った→『かりら』校正(4pのみ)→夜11時半頃就寝。
posted by aokiosamublog at 23:00| 小ネタ/思考/日記