2024年10月20日
10月まとめ(11〜20日)
石原均/榎本健一/中村是好/花澤徳衛/杉狂児『らくだの馬さん』、根本ノンジ/菜々緒『無能の鷹』、小林恒夫/榎本健一/美空ひばり/西村晃/堺駿二/岸井明/益田キートン『宝島遠征』、高橋洋/佐々木浩久/三輪ひとみ『発狂する唇』、マキノ雅弘/中村錦之助/中村賀津雄/美空ひばり『おしどり駕篭』、いろいろな作詞法を学習 於〈むらさきmusicラボ〉、アーサー・ヒラー/ピーター・フォーク/アラン・アーキン『あきれたあきれた大作戦』、富永卓二/高峰三枝子/乙羽信子/丹阿弥谷津子『春を待つ家』、梶原一騎/内藤誠/志穂美悦子『若き貴族たち 十三階段のマキ』、高橋洋/佐々木浩久/中村愛美『血を吸う宇宙』、宮藤官九郎/中谷宏幸/中村七之助/市川染五郎/中村勘太郎/中村勘三郎『シネマ歌舞伎 大江戸りびんぐでっど』。
10月11日(金) 朝9時半起床。白湯→玉葱と油揚のおつけ、ご飯、納豆→午前中、10月1〜10日の日記まとめなど。DU仕事の依頼元からの原稿記載希望情報はまだ来ない→品切れだったヤマハのポータブルキーボード(PSS-A50)がようやく届いたので、さっそく電池入れて操作確認など→冷やし月見そば(刻み葱)→『江戸川乱歩シリーズ明智小五郎#1 殺しの招待状 蜘蛛男より』(原作:江戸川乱歩、監督:工藤栄一。黒葉ナナ、喜多村次郎とザ・ライフ、清川新吾、集三枝子、滝俊介、岡田裕介、山村聡、山田吾一、伊丹十三、橘ますみ、花田越子。1970、東映/東京12チャンネル)→『江戸川乱歩シリーズ明智小五郎#2 首泥棒 魔術師より』(原作:江戸川乱歩、監督:竹本弘一。日下武史、橘ますみ、岡田裕介、滝俊介、山田吾一、原良子、石橋蓮司、夏珠美、潮万太郎。1970、東映/東京12チャンネル)→『江戸川乱歩シリーズ明智小五郎#3 黄金仮面』(原作:江戸川乱歩、監督:田口勝彦。松岡きっこ、宇佐美淳也、吉川満子、滝俊介、山田吾一、橘ますみ、岡田裕介、団次郎。1970、東映/東京12チャンネル)→『江戸川乱歩シリーズ明智小五郎#4 ダイヤモンドを喰う女 黒蜥蜴より』(原作:江戸川乱歩、監督:石川義寛。鹿内タカシ、滝俊介、山田吾一、橘ますみ。水上竜子、村上冬樹、野川由美子、岡田裕介。1970、東映/東京12チャンネル)。1970年4月から半年間東京12チャンネル(当時)で放映された、江戸川乱歩の明智小五郎シリーズ各話のドラマ化(全26話)。女性の裸もふんだんに出てくるし、変態性欲のような描写もあり、殺人の場面も克明に描かれ、まあ要は大人向きの江戸川乱歩≠ナあるわけだが、ドラマとしての造りは、今日四作観た限りで子供騙しであった。第一話「殺しの招待状」で伊丹十三扮する畔柳教授が巨弾な氷と共に滑り台を滑り降りて氷に潰されて自滅したり、第二話の「首泥棒」での奇術の描写だったり(引田天功協力とのこと)、第三話「黄金仮面」での松岡きっこの信じてはいけないものを信じてしまう女性っぷりだったり、第四話「ダイヤモンドを喰う女」での野川由美子の二面性だったり、そして四作を通じて70年代初頭の女性ファッションだったり、楽しめる要素がまったくないわけではないが、大人に振るのならすべてが中途半端だったかな。シリーズものをすべて観て保存するのはまあ趣味なわけだが、これも全部観るとしても、保存はしなくてもいいかなと思った。毎週金曜日に二話ずつ放映されるそうなので、来週観てから決めるか→『らくだの馬さん』(監督:石原均。榎本健一、宮川玲子、杉狂児、月丘千秋、曾根秀介、中村是好、益田キートン、花澤徳衛。1957、東映)。ご存知落語の「らくだ」の映画化。らくだ(中村是好)とくず屋(榎本健一)の関係や顛末を詳しく描いているのは落語にはない(あるかもしれないがらくだが死んでからの話としてしか聞いたことがない)部分で、それかららくだが死んで兄弟分(花澤徳衛)が出て来てくず屋に無理難題を押し付け、しかし酔っ払ったくず屋が立場を逆転させるところはまあ落語そのまま(端折っている部分があるが)。ところがくず屋の酔いが頂点まで達したところで富籤が当たったと女房(宮川玲子)や長家の連中が押しかけて来て、くず屋が賞金を受け取りに行くというところで映画は終わり。拍子抜けもするが、しかし幸せな気持ちにもなり、観終えればとても楽しい時間を過ごしていた。エノケンはもちろん、杉狂児、中村是好、益田キートン、花澤徳衛らの藝を堪能。同時期から後年の(たとえば)ヤクザ映画などでは味わえない、役者の至藝を味わわせてもらった。これは永久保存→柿ピー、キャベツクレソントマトベーコンのサラダ、キーマカレー、ひと口餃子×10、豆腐と青葱のおつけ(うずらの卵、揚げ玉)、ビール中瓶×1、金宮酎ハイ×5→菜々緒主演のTVドラマ『無能の鷹』(テレビ朝日)を何気なく見たが、菜々緒の何も考えていないような表情の芝居が面白く、また脚本も意外によくできていた。毎回見るか→午前2時就寝。
10月12日(土) 朝9時起床。白湯→豆腐と青葱のおつけ、ご飯、納豆、海苔→『宝島遠征』(監督:小林恒夫。美空ひばり、西村晃、川田晴久、小峰千代子、川田孝子、堺駿二、萩原満、山本麟一、関山耕司、高田博、山口勇、榎本健一、岸井明、益田キートン、小野満、シックスブラザース、大東良、杉義一。1956、東映)。『桃太郎』を下敷きにしたオペレッタ映画。エノケンのこの手の映画としては標準的?な楽しさ、出来栄えと思うが、美空ひばりの歌が珍しく(この時代だと珍しくないのかな?)ぬめぬめしたところがなくてからっとしているのがよい。桃太郎にアラビア風味と少しアフリカ風味をいい加減に混ぜたような適当な世界観は好むところだし、船が楽器になっているところはなんとも粋だし、なにより当時流行のジャズをふんだんに使っているようなところにしびれる。こののち東映ヤクザ映画や様々な作品で活躍する西村晃、山本麟一、関山耕司が本人とわからないくらいに鬼に扮装しているのも可笑しい。ヒロインの鬼の世界の毬姫に扮した川田孝子がたいそう魅力的だったが、戦後すぐに童謡を歌う「川田三姉妹」(姉・川田正子、妹・川田美智子)として活躍(1959年に引退)。映画出演は本数こと多くはないが(本作含め13本の模様)柳家金語楼が女中おトラを演じた東宝の喜劇映画『おトラさん』シリーズ(小田基義監督。1957〜58年。全六本)のレギュラー出演でも人気を博したようだ。まだまだ知らないことは多いな→冷やし月見たぬきそば(刻み葱)→「逢いたくて逢いたくて」の弾き語り練習。主に息継ぎを意識的にして歌い切るところをきっちり歌い切る練習をしてみた。ギター弾きながらだと、あちこちに神経を使うことになるので難しい→風呂→『発狂する唇』(原作・脚本:高橋洋、監督:佐々木浩久。並樹史朗、三輪ひとみ、吉行由実、夏川ひじり、大杉漣、諏訪太朗、鈴木一功、下元史朗、由良宜子、藤原壱史、阿部寛、栗林知美、つじしんめい、久保酎吉、池田均、松田章、高橋かずみ、冬雁子、滝本ゆに、鈴木美帆、田辺久弥、鈴木一真。2000、オメガ・プロジェクト)。本作の評判を見ると「エロティック・ホラー・コメディ」と呼ばれていて、まあ確かにそうだが、エロの要素もホラーの要素もコメディの要素もあるものの、それでなにがしたかったのか? という点がよくわからない映画であった。コメディの要素には、物語が破綻している点も入っているのか(そもそも破綻は意図的なのか)という疑問もあるのだが、しかしそれでいて、全体的にはなんだか奇妙な満足感も得た。2000年の作品なのにエロ・グロ・ナンセンスのあり方や画面の味わいが70年代っぽい点が、なんだかねじれた面白さを感じさせる所為もあるかな。あるいは終盤の唐突なアクション展開が意外にきちんとしていたりとか。あとは、主役の三輪ひとみがなかなか得難い俳優であることがわかる点か(特に特殊能力を得てからと、終盤のアクション)。歌はヘタだったが、現在あまり活動していない?(2023年にTVドラマ『アカイリンゴ』に出ているそうだが)のが残念。しかし三輪ひとみのことは本作以前に知っていたと思うのだが、何で知ったかは出演作リストを見ても不明だった→柿ピー、レンコンとニンニク蒸し焼き、ひとくち餃子×10(砕きカルダモン)、薄切りじゃがいもバターソテー(塩、黒胡椒)、ぶっかけそうめん(生卵、釜揚げしらす、おろし生姜、青海苔、揚げ玉)、ビール中瓶×2、金宮酎ハイ×2→弾き語り練習続き。午前中よりも練れてきたように思う→夜10時頃一旦就寝→日付け変わるころ起床→『キング・オブ・コント』見ながら金宮酎ハイ×5。最初の三組がひどかったが、この三組の点数にも疑問。結果にはまあ納得→午前3時就寝。
10月13日(日) 朝9時半起床。白湯→豆腐と青葱のおつけ、きのこ雑炊(ぶなしめじ、釜揚げしらす、うずらの卵、針生姜、鶏ガラ出汁顆粒)→明日の取材の進行や質問事項などを整理→刻み月見たぬきそば(刻み葱)→明日の取材について諸々再確認(現地へのバスの時間など。歩いて行っても時間はほぼ変わらない)→『おしどり駕篭』(原作・脚色:観世光太、監督:マキノ雅弘。桜町弘子、月丘千秋、月形龍之介、伏見扇太郎、杉狂児、中村錦之助、中村賀津雄、中原ひとみ、美空ひばり、山口勇、市川子団次、清川荘司。1958、東映)。藩主が急逝した某藩で、国家老黒木兵部(月形龍之介)と次席家老松坂善兵衛(杉狂児)との間に世継ぎ争いが起こる。黒木兵部は国表に残る次男三之丞(伏見扇太郎)を、松坂善兵衛は殿様が性に合わず江戸に出奔した長男弦二郎(中村錦之助)を押すが、兵部はその裏で十八万両の公金を横領したり、自分の権力を固めようとよからぬ企みを進めている。兵部の娘千鳥(桜町弘子)は父の悪行を諌めたいと思い、自ら狂女になった芝居を続ける。さて弦二郎は江戸で「源太」と名乗り左官職につき兄弟分の半次(中村賀津雄)と楽しく日々を過ごしたり、矢場の女小蝶(美空ひばり)とよろしくやったりしているが、ある日松坂善兵衛と江戸家老神崎剛之進(山口勇)が迎えに来て国表の騒動を告げると、弦二郎もついに決意し「殿様」として国表に向かう−− といった、まあ時代劇ではよくある物語で、弦二郎/源太と小蝶との関係が惚れ合っていながら会えば喧嘩(ただしほのぼのとした)になるというのもよくある展開だが、全体的に物語が徒に複雑ではなく、話の展開も全体の雰囲気も明朗なのがまず好ましい。中村錦之助の持ち味が生かさているし、美空ひばりも、昨日観た『宝島遠征』と同じく「ぬめぬめしたところがなくてからっとしてい」て、それでいて弦二郎/源太を想う女心がしっかり伝わってきてなんともいい塩梅に色っぽい。二十歳前後の美空ひばりは最も輝いている−−のかどうかはちゃんと調べてみないとわからないが、他の映画でこの美空ひばりはいいなあと思ったのは、だいたい同じ頃ではないかと想う。で、結末は弦二郎が兵部一味を断罪しつつ(中村錦之助の、小蝶への想いを歌いつつの立ち回りが、実に切なくかつ小気味いい)、三之丞に家督を譲って小蝶とともにおしどり駕篭で@キに出るのも、なんとも爽やかで気持ちよかった。物語の本筋とはあまり関係ないが、半次と恋仲のお市に扮する中原ひとみの可愛らしい歌が聴けるのも本作の魅力と思う→海苔しらす、カップヌードルカレー(潰しニンニク、うずらの卵×2)、ビール中瓶×1、金宮酎ハイ×2→午睡→ビール中瓶×1飲んでまた就寝。午前1時半。
10月14日(月) 朝5時起床。白湯→風呂→じゃがいもと油揚のおつけ、きのこ雑炊(卵)→10時少し前出発→一時間弱で〈砧公園〉着。水買ったりして暫時休憩→11時少し前に現地着。ご担当の方とのご挨拶をはさみ、小一時間ほど園内を散策し、本日のインタビューのネタを拾う(花つくり教室修了者の記念植樹、ハーブ苑の人形、水辺の合鴨など)→12時から一時間ほど、みなさんのお話を伺う。みなさん少し緊張なさっていたかもしれないが、いいお話をたくさん聞くことができ、こちらとしては楽をさせたもらった取材だった。伺おうと思っていたことを制限時間ちょうどくらいに収まるように、かつまあまあ自然な会話の流れできちっと伺うことができ、取材者としても安心した→帰途はまず〈砧公園〉に寄って売店でなにか買って食べるかと思ったものの長蛇の列で諦め、美術館の脇を抜けて用賀七条通りに入り適当なところで北上しつつ〈上用賀公園〉を抜けて〈馬事公苑〉の入り口を横目で見ながら農大のところの交差点に出て、なら〈山之内〉でとんかつかと思ったが、まだ午後2時前なのに準備中の札が出ていて憮然。そこから〈Analog Hamberger〉や〈田中ロボ〉まで足を延ばすのも面倒になり、千歳船橋の駅まで戻って〈結〉でおむすびと唐揚げ買って帰宅。結局往復とも歩き、約三時間、15,000歩と、よい運動になった→唐揚げ×2、鮭おむすび×1、ビール中瓶×2→午睡。先日けっこう歩いたときも睡眠中両脚がつったが、今日も両脚がつった。しかしそれほど痛みが走らなかったのは、予防と思い寝る前に水を飲んだからかなと思ったが、果たして→取材音声文字起こし、ひとまず全体の1/4ほど。今晩中には終わりそうだ→メヒカリ唐揚げ、ニンジンかき揚げ、レンコン天ぷら、唐揚げ、紅生姜、煮干し出汁殻唐揚げ、煮干し出汁殻唐揚げ、ビール中瓶×1、金宮酎ハイ×4→また午睡というか仮眠。夜10時頃→午前3時起床→取材音声文字起こし続き。ちょいと難航して、結局朝までで終わらず。音声だけでできる範囲で先に送ろうかと思ったが、DU氏にお伝えしたとおり、動画の送付を待って完成させてから送ることにする→朝5時就寝。
10月15日(火) 朝9時半起床、白湯→じゃがいもと油揚のおつけ、卵かけご飯、納豆、海苔→シャワー→出がけに昨日の取材の動画が送られてきたのでダウンロードして再再確認→予定より少し遅れて出発し、少し遅れて〈むらさきmusicラボ〉到着→本日はまず作詞の方法の話。自分の心を動かす言葉(単語やごくごく短い文)を一小節にひとつ書き出し、それを並べ替えて歌の中の物語を作る、という方法を教えていただき、これがなかなか面白かった。今回は人(O形)が書いた言葉を私が並べ替えたが(逆ももちろん)、自分ひとりでやってみても面白いと思う。次は『コールユーブンゲン』で、4/4の際の「強弱中弱」が単に強い、中くらいに強いではなく、それぞれの音の方向性(ベクトル)である、という考えた方を知ることができたのが収穫。もちろん表現する際の音の強い弱いもあるけれども、一拍めでドンと地面に足を下ろし、四拍目めは一拍めへの準備でベクトルは上に上がる、三拍めは四拍めへの動きを意識して横に広がる、という捉え方は、これまたもちろんこれだけが正解ではないだろうが、音楽を表現しようとする上ではとても有用と思った。あとは『逢いたくて逢いたくて』の実演と(これは褒められたが、まあ方向性は間違っていない、くらいに捉えた)、最初に戻って歌づくりのサンプルとしてまりちゃん先生が作った歌(と紙芝居)二曲を鑑賞。これまた示唆に富んだ楽曲であった→我々の次の母子とちょいとおしゃべりしておいとま→〈はま寿司〉も飽きてきたので、本日はまっすぐ帰宅し、夕方5時過ぎ帰宅→自家製ポテトチップス、ひと口餃子×10、ビール中瓶×1、金宮酎ハイ×2→夜8時頃一旦就寝→一時間半ほどで起床→今朝送っていただいた動画にて取材音声文字起こし続き→結局動画は音が悪く聞きづらかったので、自分で録った音声データで最後まで起こして、話者の特定のみ動画に頼った。午前2時少し前に完了。なんだか時間がかかってしまった→『あきれたあきれた大作戦』(原題『The In-Laws』、監督:アーサー・ヒラー。ピーター・フォーク、アラン・アーキン、サミー・スミス、ペニー・ペイサー、ナンシー・デュソールト、マイケル・レムベック、アーレン・ゴロンカ、ロズシカ・ハルモス、デヴィッド・ペイマー、ポール・L・スミス、カーマイン・カリディ、バーバラ・ダナ、ピーター・ミラー、ジェームズ・ホン、ダニー・クワン、エド・ベグリー・ジュニア、リチャード・リバティーニ。1979、米Warner Bros.)。冒頭、ピーター・フォーク扮するヴィンス・リカルドなる謎の男が米国紙幣の原版をまんまと盗み出す(人を使って盗み出させる)ところから話は始まるのだが、このヴィンス・リカルドが悪なのか正義なのか、という正体を最後の最後まで明かさない、その持って行き方がよかった。正義とする根拠はヴィンス・リカルド自身の証言しかなく、それがまた怪しくて可笑しい。さすがピーター・フォーク。そのヴィンスに法論される歯科医シェルドン・コーンペットを演じるアラン・アーキンの、ただただ真面目で慎重だが人がよい感じもうまい。その「ただただ真面目で慎重だが人がよい」シェルドンを、単にその娘がヴィンスの息子と結婚することになったというだけで無邪気かつ徹底的に利用するヴィンス、という構図の描き方が面白く、笑いの源は主にこのふたり(ピーター・フォークの芝居とアラン・アーキンの受け)ではあるが、途中でちょいと登場するタクシー運転手(デヴィッド・ペイマー)や飛行機の中での中国人二人組(ジェームズ・ホン、ダニー・クワン)が隠し味的に笑いの味わいを広げていく。よくできたコメディ。原題は「義理の親戚」(姻戚、血縁関係のない親戚)という意味だが、そのなんの捻りもない題名も却って可笑しい→煮干し出汁殻素揚げ、ビール中瓶×1 →午前4時半就寝。
10月16日(水) 朝8時半起床、白湯→じゃがいもと油揚のおつけ(揚げ玉)、卵かけご飯(納豆)→老父買い物代行(サミット、クリエイト)→いろいろ考えあぐねた結果、昼は〈GYUGYUバーガー〉を買って帰ろうと思ったが、本日も休み(支店とも)。面倒になりなにも買わずに帰る→木の屋さんま醤油味付け缶詰、もりそば(揚げ玉、うずらの卵×2、青海苔)、ビール中瓶×1→午睡→風呂→『兵隊極道』(監督:佐伯清。若山富三郎、里見浩太郎、西田良、宮園純子、汐路章、金子信雄、藤岡重慶、山城新伍、潮健児、名和宏、関山耕司、天津敏、大信田礼子、石井富子、団巌、菅原文太、徳大寺伸、八名信夫、志賀勝、小田部通麿。1968、東映)。シリーズ三作め。前二作で特異な人物像を印象付けた極道・島村清吉(若山富三郎)が、今度は軍隊に入営し…… という話だが、単にヤクザが兵隊に≠ニいう設定だけで弟勝新太郎の『兵隊やくざ』シリーズと比べてしまう。ただし『兵隊やくざ』がその設定だけで9作続いたのに対し、こちらは『極道』シリーズの中の一作だから、比較する意味はないのかもしれないが、比べてしまうと、やはり若干精彩に欠くような印象は受ける。もっともその印象は、本作の持ち味∞勝新と富三郎のキャラクターの違い≠ニいうだけのことかもしれない。島村清吉が軍隊に入営し軍隊でも遺憾なくその個性を発揮する、そこまでのテンポや間がちょいとまだるっこしいような気がするが、そこから先はこれまでの『極道』シリーズらしい味わい。まだヤクザ映画のパロディ∞笑い≠ニいった要素は少ない(あるいはほとんどない)が、上官の不正を暴き制裁しながらいつの間にか敵である匪賊≠ノ囲まれていて、制裁の勢いで突っ込んでいく終幕はなかなかに痺れた。ちなみに本作にも菅原文太が出演しているが、まだまだ主要な役ではないものの、ほぼ一言しかない台詞がかなりの迫力。島村清吉と敵対する組の組長を金子信雄が演じているのだが、舎弟酒巻(名和宏)が入営したのをいいことに、面倒を見ると約束していた妹千賀子(宮園純子)を従軍慰安婦に売り飛ばす悪党ぶりもよかった。クーニャン役で出演の大信田礼子は、もう少し印象に残る存在にしてほしかったかな(これは映画への注文というより、単にファンとして)→じゃがいもとニンジンの温サラダ(ニンニク、酢、オリーブ油、かつ節、黒胡椒、塩)、木の屋さんま醤油味付け缶詰、玉葱生姜焼き(ベルのタレ)、ビール中瓶×2→夜9時半就寝。
10月17日(木) 0時起床→そばつゆ仕込みと粥製作→今回のDU仕事、一本めの構成案というか記載希望案が昨日来たので内容を吟味。要素や項目や発言文字数多過ぎ/着地点不明でこのままではまとめられないので、こちらで構成案をこさえて寝る前に送付することにする→送付の前に映画(厳密にはTVドラマ)をもう一本→『春を待つ家』(監督:富永卓二。高峰三枝子、乙羽信子、井上順、上原謙、池部良、音無美紀子、ベンガル、石田ゆり子、坂詰貴之、中田喜子、丹阿弥谷津子、薬丸裕英、村井国夫、佐藤友美。1990、東映、CX制作/FNN)。1990年の正月(1月12日)に放映された、迎春ドラマスペシャルの作品。三人の老姉妹(乙羽信子、高峰三枝子、丹阿弥谷津子)それぞれの越し方行く末、彼女たちがちょっと憧れる?老紳士(池部良)との交流、老姉妹の次女(高峰三枝子)とその子供たちとその配偶者たち(井上順、音無美紀子、村井国夫、佐藤友美、中田喜子)との軋轢、孫の世代(石田ゆり子、坂詰貴之、薬丸裕英)との交流などを通して、老いてからの人それぞれの生き方を描いた、ある種山田太一っぽいドラマで、脚本(金子成人)も監督もお名前を知らない方だというだけだと思うが、山田太一から作家性やクセのようなものを抜いたという印象。とはいえとても丁寧に作られていると思うし、作家性の有無などどうでもよいくらいに、ずっしりとしたものを受け取った。その辺りについては俳優陣(若手も含めて)の力量もあるとは思うが、撮影も絵造りも演出もすべてに丁寧さを感じるし(冒頭の光の美しさから火事へと移行する映像にはハッとさせられた)、役者たちの芝居もその世界の重鎮だからといっておまかせ≠ナはなく、ひとつひとつの場面や台詞について検討を重ねながら撮っていったという印象を得た。老人としては、昔は普通に(迎春ドラマスペシャルだから、普通≠ナはないか?)こういうドラマが地上波TVで放映されていたんだなあと、改めて感心した→昆布とかつ節出汁殻、焼き海苔、金宮酎ハイ×4→『春を待つ家』は、気持ちよく眠ることができそうなドラマだった。メール送信して朝6時就寝→朝9時半起床。白湯→粥(ポーチドエッグ)→食後仕事机の前に座るも、指動かず(『春を待つ家』の感想は書いたが)。時が来るのを待つしかないか→冷やし花巻そば→さて仕事と机に向かうとDUより電話あり、いろいろ話した結果明日の初稿提出はなくなり、諸々仕切り直しになった。気が抜けた→気が抜けたところでO形帰宅したので飲酒開始。カッパえびせん、菊水堂ポテトチップス、プチトマト、ビール中瓶×1、金宮酎ハイ×5→『春を待つ家』再見してから就寝。時間不明。
10月18日(金) 朝8時起床。白湯→粥(ポーチドエッグ)→午前中はちょっとギター弾いたりぼおっとしつつ、DU連絡業務など。依頼元もずいぶんがんばってくれたようだ→きつねそば(刻み葱)→来週の京都の交通経路調べたりなど→DU一本めの構成を書き出してみる。ようやくなんとかなりそうだ→菊水堂ポテトチップス、土産のセロリと豚肉炒め、青菜炒め、炒飯、ビール中瓶×1.5→風呂→『若き貴族たち 十三階段のマキ』(原作:梶原一騎、監督:内藤誠。芹明香、ジャンボ久世、五十嵐のり子、豊田れい子、謝秀容、川路愛、志穂美悦子、二松きぬえ、叶優子、東島祐子、金親由起子、山本良々、沢リミ子、名和宏、南城竜也、大原美佐、近藤宏、大宮敏充、内田勝正、小林千枝、佐川二郎、室田日出男、小山柳子、千葉真一、柴田鋭子。1975、東映)。志穂美悦子の来歴についてほとんど知らないのでざっと確認してみたところ、故郷岡山の高校生の頃に千葉真一に憧れJACの入所試験を受けて合格し上京、高校を転校。高校在学中の1973年に『ボディガード牙』にて「マキ」役の渡辺やよいの擬斗の吹き替えをし、本名の塩見悦子で映画デビューを飾る。同年の『ボディガード牙 必殺三角飛び』では藝名を志穂美悦子に改め役がつき(役名は「マキ」)、翌1974年には『女必殺拳』にて早くも主役の座を射止める。千葉真一主演作への出演を続けながら、同年に『女必殺拳 危機一発』、翌1975年に『帰って来た女必殺拳』と続けて主役となり(共に『女必殺拳』シリーズ)、続く主演作が本作という次第。このとき志穂美悦子二十歳である。で、本作だが、ナリは野良猫、心は貴族≠ェ信条の、13階段のマキこと日向真樹(志穂美悦子)率いる「野良猫グループ」が、ふとしたきっかけから大企業の乗っ取りを図るヤクザと対決するという話。そのヤクザのボス大門(名和宏)が付け狙う会社さちょう二階堂(近藤宏)の鼻っ柱の強い娘悠子(大原美佐)もやはりひょんなことからマキと対立するのだが、この悠子が力(父を通じたヤクザの力)を借りるのにひたすら酷い目に遭う(マキたちにはリンチされ刺青まで入れられるし、大門の用心棒の空手の達人江藤=南城竜也には頬を張られ、大門には犯される)のがなんだか可笑しい。ナリは野良猫、心は貴族≠ニいう信条が今ひとつ伝わって来ず、荒くれ女の映画にしか見えなくて、観ている最中はどこが貴族なのかな≠ニいう疑問を感じたが、それはそれとして、冒頭でマキたちがストリッパー(二松きぬえ)を救ってから劇場で大門たちとひと立ち回りするくだりのスピード感とアクションの素晴らしさ、マキが監獄に入れられてからの敵対するスケバングループとの死闘、終盤の大門の手下たちとの大立ち回りなどなど、アクションを中心に可笑しみもある演出で大いに楽しませてもらった。そういえば、マキを除く野良猫グループがスナックで沢田研二の「追憶」([]︎小雨降れば ひとり待つ ニーナ!)で踊り狂っているところに(別に自由だが、なぜこの歌であれだけ踊れるのか)大門の手先が彼女たちを連れ去る目的でやってきて、「私はニーナ・ナカオカです」と挨拶するのは逆なのか? 映画と同名の主題歌(作詞:梶原一騎、作曲:菊池俊輔)を歌う志穂美悦子の歌の可愛らしいひどさ≠煢ス故か好ましく、映画としての出来栄えはよくわからないが、印象に残るアクション娯楽作であった。最初に書いたように、志穂美悦子は映画デビュー後まで二年めだが、その割には芝居もアクションも大したものだ。これは驚かざるを得ない→柿とクレソンとキャベツのサラダ、豆乳スープ(鶏もも肉、ぶなしめじ、白菜、ニンジン)、フランスパン、ビール中瓶×1→暫時休憩しているうちまた飲みたくなったので、金宮酎ハイ×5→『無能の鷹』第2話。鷹野ツメ子が打ち合わせ先で帰国子女と思い込まれて話が転がっていく展開は、脚本も演出もうまかった。けっこう笑った→『江戸川乱歩シリーズ明智小五郎#5 花嫁泥棒 地獄の道化師より』(原作:江戸川乱歩、監督:中川信夫。塩屋翼、島田景一郎、永井譲滋、伊豆肇、菅井一郎、滝俊介、橘ますみ、岡田裕介、山田吾一、弓恵子。1970、東映/東京12チャンネル)。これまでの四作同様、推理ものとしての魅力も猟奇ものとしての魅力もさっぱりわからず、ほぼ完全に面白くなかったのだが−−若い頃に背中に刺青を入れられてしまったウェディングプランナー野上みや子(弓恵子)が、その相手の男の彫物師=菅井一郎をクスリ漬けにして操っていたり、すでにさらわれていた女たちの背中に彫られていたのが七福神だったり、というあたりはなんだか可笑しかったのだが−−、ネット上でいくつか見つけた感想の中には、本作の面白さをきちんと見つけているものもあった。その点反省(野上みや子がフランスでデザインを学んだ≠ニいう経歴のはずなのが、実際は地下組織に入って武器の輸出入や薬物取引、人身売買に手を染めていた≠ニいう話が出てくるあたりは飽きてきていて、見逃していたし)。あと事件発見のきっかけとなる少年(塩屋翼)は、本シリーズでのちに登場する少年探偵団の伏線、のようだ→ビール中瓶×1/2→午前2時半就寝。
10月19日(土) 朝9時起床。白湯→豆乳スープ(鶏もも肉、ぶなしめじ、白菜、ニンジン)、フランスパン3切れ→昨夜観た映画などの感想まとめ→『江戸川乱歩シリーズ明智小五郎#6 吸血鬼』(原作:江戸川乱歩、監督:石川義寛。宗近晴見、沼田曜一、佐々木愛、山田吾一、岡田裕介、橘ますみ、山村聡、早川保、山岡徹也、大久保正信、滝俊介。1970、東映/東京12チャンネル)。前作の鑑賞時に反省したので今回はじっくり観てみたが、推理ものとしては冒頭で崖から転がり落ちて死んだ男が蘇った(ように見えた)り、なんの説明もなしに怪しい男たちが次々に登場たりなど、謎を追い詰めていく様がなかなか楽しかった。が、ふと青空文庫にあった乱歩「吸血鬼」の冒頭だけ読んでみたらもういけない。あの文体から薫ってくる芳醇な変質猟奇なにおいもなければ、物語の筋も薄めに薄めた別物であることが再認識されてしまった(というか、まさか「吸血鬼」が原作ではないのか?)。また前作と本作は、最初の四本でかろうじて魅力と思った70年代のサイケな女性ファッション≠ェなく、その分退屈さも増していた。本作での犯人(一応伏せておく)が最後に「教えてくれ明智さん、この血のどこが普通の人と違うんだ」というところは(原作になさそうだが果たして)面白かったが、まあやはりこのシリーズは期待薄ということか→午後経堂に出て、まずは〈しらかめ〉で遅い昼。コンニャク指輪、山椒昆布、ごま汁せいろ、御酒五勺→〈かばた〉〈清和堂文具店〉〈オオゼキ〉で買い物して帰宅。〈かばた〉の前で夢亀氏にばったり→帰宅後風呂→ビール中瓶×1と金宮酎ハイ×1→紅生姜、豆乳スープ(鮭、大根、ほうれん草、舞茸、どんこ、生姜、鰹出汁)、フランスパンふた切れ、金宮酎ハイ×4→夜9時半いったん就寝。
10月20日(日) 深夜起床→『血を吸う宇宙』(原作・脚本:高橋洋、監督:佐々木浩久。滝本ゆに、中村愛美、荒川良々、下元史朗、阿部サダヲ、由良宜子、黒沢清、上田耕一、吉行由実、中里博美、竹ノ内明日香、西野まり、澤山雄次、阿部寛、栗林知美、三輪ひとみ。小泉有伽、諏訪太朗、並樹史朗、常泉忠通、三島ゆり子、陳偉滔、トウ・チョウユウ、川合敏之、冴木尚人、清水一哉、粕渕公、増田未亜。2001、オメガ・ピクチャーズ、日活、オズ制作/オメガ・ピクチャーズ配給)。高橋洋・佐々木浩久コンビの前作『発狂する唇』と、もちろん物語は異なるが、地に足のついた(というかなんというか)事件に霊媒師が介入し、やがて大きな陰謀論的な展開を見せるという点では、印象としてはほとんど同じと感じた(役者も並樹史朗、三輪ひとみ、吉行由実、諏訪太朗、下元史朗、由良宜子、阿部寛、栗林知美、滝本ゆに−−以上『発狂』の登場順−−が重複)。感想もほぼ同じだが、多少こちらのほうが、エロティック≠ニいう様子が薄いかな、というくらいの違いはあるか。主役の中村愛美がヘタクソな歌を披露しているのや、終盤で唐突なアクションシーン(今回はカンフーがふんだんに使われる)があるのも、『発狂〜』と同様だし、FBIのふたり(阿部寛、栗林知美)の人物設定も同じ。観ている最中は面白く、またゲラゲラ笑ったりもするのだが、観終えてみると特に本作ならではの感想は残らなかった。終幕の蜘蛛に台詞を当てているところは、台詞と蜘蛛(野生と思われる)の動きを合わせた編集がちょっと見事だったか→『若さま侍捕物帖 深夜の死美人』(原作:城昌幸「だんまり闇」、監督:深田金之助。若水美子、三笠博子、立花伸介、加藤嘉、星美智子、大川橋蔵、薄田研二、徳大寺伸、星十郎、岸田一夫、国一太郎、美鈴れい子、阿部九洲男、富田仲次郎、山口勇、片岡栄二郎、浦里はるみ、富久井一朗。1957、東映)。大川橋蔵版としては四作め(『地獄の皿屋敷/べらんめえ活人剣』を一本と考えた場合)。久能山東照宮に隠された財宝を掠め取ろうとする一味のひとり、骨董屋の金正重右衛門に扮する薄田研二が創る不敵かつ不気味な人物像が印象に残る。あとは女掏摸おゆみ(浦里はるみ)の「しつこいねえ、一ノ谷(の合戦)の熊谷(次郎直実)じゃあるまいし」という台詞とか。大川橋蔵は、「ふーん」と気のない相槌を打ったりただ首を傾げたりするだけで、なんともいえない色気を放つ。若き大川橋蔵の最盛期、かどうかは知らないが、大川橋蔵の魅力とと物語の面白さの塩梅がちょうどよかった、という感想を得た→しらす海苔、金宮酎ハイ×2、御酒×2→朝7時就寝→午前11時起床。白湯→血圧計電池交換→豆乳スープ(鮭、大根、ほうれん草、舞茸、どんこ、生姜、鰹出汁)、しらすトースト四切れ→『シネマ歌舞伎 大江戸りびんぐでっど』(作・演出:宮藤官九郎、シネマ歌舞伎監督:中谷宏幸。中村七之助、市川染五郎、片岡亀蔵、市村萬次郎、井之上隆志、中村勘太郎、中村扇雀、中村福助、坂東橋太郎、坂東三津五郎、坂東彌十郎、中村勘三郎、市川猿弥、中村小三郎、片岡市蔵、中村芝のぶ、中村小山三、中村橋之助、中村鶴松、中村獅童。2010、松竹)。歌舞伎座の2009年12月昼の部四つめの出し物として上演された、宮藤官九郎による新作歌舞伎。歌舞伎座は翌2010年4月30日に閉場され、取り壊しののち、2013年2月26日に建て替えが完了したが、2009年から2010年にかけての一年間「さよなら公演」が行われた。その「さよなら公演」の中の一作であり、本作にも出演している中村勘三郎が宮藤官九郎を指名して書かせた芝居だそうだ。2010年頃だと私は宮藤官九郎のことをよくわかってなかったように思うが(脚本や演出を手がけた映画、TVドラマを何本か観たくらいで、『タイガー&ドラゴン』に感心したのも放映終了後にDVDボックスを購入したのち)、よくわかっていなかったので本作を観に行かなかったことを後悔しもするが、同時によくわからずに観に行っていたら徒に批判的に観ていただろうから観に行かなくてよかったとも、この「シネマ歌舞伎」を本日鑑賞して思った。本作より少し前の歌舞伎の状況を考えると、『野田版 研辰の討たれ』が2001年、三谷幸喜の『決闘!高田馬場』が2006年、歌舞伎以外の演劇人の参入は(もちろんそれ以前から)あったものの、本作では歌舞伎としては御法度≠ニ思えるような演出−−たとえば生ける屍≠フ生々しい描写、やはり生々しい性描写や下ネタ、あるいはふと気づくと過激ともいえるような社会風刺などなど−−も多く、かなり挑戦的な作品だったのではないかと思われる。その「生々しい描写」や、あるいは「ゾンビ」を「ハケン」と表現するような点に嫌悪感を覚えた人も少なくないようだが(といってもネット上の感想をいくつか読んだくらいだが)、おそらく宮藤官九郎はそのときの現在≠ノついてどういう風に捉えるのが正解か≠提示したのではなく、現在をそのまま(ただし娯楽作品の体裁に組み立て直して)£示したのではないかと思う。そういうところは今年放映されたTVドラマ(『季節のない街』『不適切にもほどがある!』『新宿野戦病院』など)にも貫かれているんだなあと思った。が、まあそれはそれとして、冒頭の、あるいは話が進んでからの実にくだらないギャグの応酬−−導入部のくさやが喋るかと思ったら実はイルカとカメレオンという展開だったり、ゾンビがわらわら現れてからの『奇跡の人』の杜撰なパロティだったり、中村勘太郎がマイケル・ジャクソンばりに踊ったり、『あまちゃん』や『サザエさん』からの適当な引用があったり−−や、あるいは導入部に続く第一場の遊郭「相模屋」でのゾンビたちが現れるところの展開は見事だったし、気がつくと生きるという上での深刻な問題−−生きていると勘違いしていた、とか、自分のでまかせに騙されていた、とか−−を突きつけられていたり、立場の異なる人たち(本作では片方はゾンビだが)の間の分断を描いていたり、そうした展開が境目なく繰り広げられる物語の構成や演出も見事だったと思う。ちなみに「「ゾンビ」を「ハケン」と表現」した点はかなり刺激的な表現と思ったが、これは派遣労働者という存在は生ける屍のような存在である≠ニ断じているのではなく、現在の社会(政治)は労働者を生ける屍のように扱うために派遣労働という制度を作り上げた≠ニ言いたかった、あるいはその両方を「現在をそのまま」として提示したものと、私は思った。その辺を見誤ると、本作が配慮にかけた作品≠ニして捉えられることにもなるだろうし、実際そうした感想も目にしたのだが、それはやはり視野の狭い見方であると思う。とはいうものの、そういう「視野の狭い見方」を否定したり糾弾したりするのも、歌舞伎の観客に対しては酷なのではないかとも思った。そういう点も含めて、いわゆる問題作≠セと思うのだが、果たして。ちなみに落語から『芝浜』『居残り佐平次』『らくだ』『品川心中』『死神』が引用されていたと思うが(『芝浜』は場所の名前だけかな?)、これについてはいずれもあまり効いていなかったように思う。あと「シネマ」としては、映像編集に於ける特殊効果(ほんのちょっとしたアニメーションを加えたり、ブラー効果を用いたり)は、面白くはあったけれども、舞台の記録という点ではやり過ぎだったようにも思った→もりそば(揚げ玉、うずらの卵×2、青海苔)→『血を吸う宇宙』からの映画三本の感想まとめ→菊水堂ポテトチップス、カッパえびせん、ビール中瓶×1→O形サイト更新(絵日記ほか)→豆乳スープ(鶏もも肉、大根、ほうれん草、ニンジン、どんこ、舞茸、生姜)、キャベツとプチトマトとしらすぼしのサラダ、フランスパンオイルトースト、ビール中瓶×1.5、御酒×3→夜11時就寝。
posted by aokiosamublog at 23:00| 小ネタ/思考/日記