2024年11月10日

11月まとめ(1〜10日)


宝井一凛講談会「悪い人たち‥最終回 お民の度胸」 於高円寺〈HACO〉、女優F.K. 於高円寺某所、Love Handles再開、ひさびさの四谷三丁目〈新記〉〈dress〉、DU仕事ようやく終了、『芒洋たる大陸 vol.8』(佐藤芳明、田中邦和) 於祖師ヶ谷大蔵〈カフェ・ムリウイ〉、劇団S.W.A.T!『My cinema paradise 2024』 於下北沢〈劇団S.W.A.T!稽古場〉、「佐々木亜希子の活弁天国! 第三夜」 於高円寺〈ちんとんしゃん〉。

11月1日(金) 朝7時起床。白湯→舞茸と油揚のおつけ、ご飯、梅干し、葉唐辛子佃煮、海苔、生卵→風呂→昼過ぎ原宿へ。〈Blakes (GHEE)〉が閉店したとの話をネットで目にしたので、店の前まで行ってみたが、確かに看板は出ていなかった。ほんとに閉店したのかはわからないが、不精せずにもう少し通っていればよかったな。〈CURRY UP〉はまだやってるようだが、ここはなんだか癪なので、移転してから行っていなかった市谷の〈Cafe De Momo〉でも行ってみるか。原宿の〈Brown Horse〉はGHEE式のカレーはもうやっていないようだ→ひと月半ぶりで〈gh〉にて散髪。本日は湯船に湯が張ってあり、散髪後に湯に浸かって充実の午後→散髪後はどこにも寄らずに経堂、店で待ち合わせとしていたが路上でO形に鉢合わせ、そのまま〈KAPPE Diningtable〉へ。遅い昼ということで、ポテトサラダ、えび焼売、栗の渋皮揚げ、馬わさび、かっぺラーメン、ビール中瓶×1、Take7(カルダモン焼酎)酎ハイ×4(いや昼食のつもりだったのだが)。栗の渋皮揚げは出し始めた頃は熊本産だったが今は季節が移り茨城産とのこと。酒の味を邪魔しない甘みがよかった。馬わさびはよく混ぜたつもりが一箇所に溜まったわさびが罰ゲームのように口に入り悶絶。あとはうまかったので忘れたが、馬刺しものをもう一品頼んでもよかったか。〆のかっぺラーメンは鶏ガラ出汁の優しいつゆが〆に最高だった。それにしても、本日で四回め、変わらず満足→明後日、Love Handlesの演奏再開ということで、12月7日の本番でのアイデアをまとめてみなに送付。さて反応や如何に→『少年探偵団 かぶと虫の妖奇』(原作:江戸川乱歩、監督:関川秀雄。加藤嘉、大東良、杉狂児、原国雄、小森康充、斎藤紫香、宇佐美諄、増田順二、岡田英次、小宮光江、中村雅子、檜有子、古賀京子、山本緑、須藤健。1957、東映)。東映の『少年探偵団』シリーズ三作め。『妖怪博士』を原作とした『少年探偵団 第一部 妖怪博士』『少年探偵団 第二部 二十面相の悪魔』に続く作品で、おそらく『二十面相の悪魔』の終幕で捕縛された怪人二十面相が刑務所から脱獄するところから話が始まっているのだが(ただし二十面相役は南原伸二から加藤嘉に変更)、原作は『妖怪博士』ではないようで、江戸川乱歩『少年探偵団』シリーズのうちどれを原作にしたのか、今のところ不明。「巨大なかぶと虫に似たロボット」の登場は子供向け/子供だましという印象ではあるが、前二作同様、「全体に丁寧に作られたという印象」は得た。この映画シリーズを封切り時に観た子供は幸せだったろうなと思う。なお改めて確認したら、この映画シリーズはこのあと『少年探偵団 鉄塔の怪人』『少年探偵団 第一部 二十面相の復讐』『少年探偵団 第二部 夜光の魔人』『少年探偵団 透明怪人』『少年探偵団 首なし男』『少年探偵団 敵は原子潜航艇』と続く(全九本)→録画消化しながら煮干し、月見たぬきそば、ビール中瓶×2→TVドラマなど録画消化(『ちゅらさん』『必殺剣劇人』『無能の鷹』など)とビール中瓶×2ののち、日付変わるころ就寝。
11月2日(土) 朝9時起床。白湯→煮込みうどん(ニンジン、玉葱、生姜、胡麻、生卵、青海苔)→風呂→花巻たぬきそば(刻み葱)→録画整理など→蕎麦つゆ仕込みの準備(返しに昆布つけ込み)→夜は高円寺に出て、〈HACO〉にて宝井一凛講談会「悪い人たち… 最終回 お民の度胸」を聴講。

まずは女子プロレスファンだという宝井一凛の新作『横浜アリーナ 北斗晶対神取忍』。1993年7月3日の伝説の試合をまるで実況中継のように語る作品で、その試合を目の前で観ているような臨場感を楽しんだ。女子プロレスをいろんな距離や角度から眺めているような豊富な視点からの語りも面白かった。

続けてちんどんの「のまど舎」(ちんどん太鼓:紺野しょうけい、アコーディオン:ほりごめみほ)の、昭和歌謡と時代劇とヤクザ映画のテーマ曲/主題歌の歌と演奏。曲目は「ちんどん渡り鳥」(自分たちのテーマ曲?)「ゴッドファーザー愛のテーマ」「仁義なき戦いのテーマ」「名月赤城山」「大江戸捜査網のテーマ」「子連れ狼のテーマ」「暴れん坊将軍のテーマ」「銭形平次のテーマ」「青い山脈」「網走番外地のテーマ」。これはもうただただ楽しかった。ちんどん太鼓とアコーディオンだけの編成での表現としては、幅も深みを感じさせられ、すこぶる見事だったと思う。

仲入り後は本日のメイン・エベント、『清水次郎長伝』より「お民の度胸」。正式?に書くと、おそらく「第十四席 石松、小松村の七五郎に會ふ事並に都鳥吉兵衞等石松を欺し討にせんとする事」と「第十五席 七五郎夫婦度胸を以て吉兵衞を追歸す事森の石松慘殺さるる事」辺りの話だろうなと思うが、果たして。都鳥吉兵衞に騙し討ちにあった森の石松が七五郎お民夫婦のところに転がり込み、七五郎だけでなくお民が度胸と機転を効かせて都鳥の手先を追い払い、しかしせっかく助けた石松が敵方に乗り込んでしまい殺されてしまう、という顛末を語ってくれた次第だが、若い時分に石松がお民に惚れていた、という講談ではすっと語られるだけの場面をのまど舎のふたりが「講談中劇」として熱演。聴いているほうの想像力を補ってくれる見事な芝居で楽しませてもらった(芝居の最中の宝井一凛の楽しそうな表情も印象に残る)。ただ、「悪い人」というテーマが、石松や七五郎そしてお民などやくざ者全般≠含むのであれば、これまでの『東日流外三郡誌と和田喜八郎』『リアル悪い人たち 木原事件』『牡丹燈籠』『殺人鬼と言われた男 山上光治』と比較すると、この企画の柱というか性格というかが少し揺らいでしまうような気もするし、かといって奸計をめぐらした都鳥吉兵衞に焦点を当てた話でもなかったので、その辺がちょいとすっきりしなかったような気はする。私の勘違いなのかもしれないが、という次第で、このシリーズの続行に期待→一凛さんに軽くご挨拶してから〈ちんとんしゃん〉へ。最初は客我々だけでゆっくり飲んでたら、M雪さんが四人連れでおいでになり、うちの一人が女優F.K.でびっくり。我々が常連然としていたのか、愛想よくしてくださり会話が弾んだ。楽しかったなあ。おでん、御酒×3→ 平和に電車で帰経。家近くの〈セブン-イレブン〉で夜食と明日の朝食買って帰宅→明日のひさびさのリハーサルの準備。「Come On Into My Kitchen」で台所道具を使おうと思い、以前買った泡立て器や菜箸を発掘、また瓶など物色→カップラーメン、ビール中瓶×1→そばつゆ仕込んでから就寝。午前2時ころ。
11月3日(日) 朝7時起床。白湯→サンドイッチ(ハムと卵、メンチカツ)→ドラム演奏用の小道具など揃えてから、バスで渋谷へ。いつもどおり道玄坂上下車→早く着いたので昼。チーズハンバーガー、フライドポテト、生ビール×1(タートルズ)。口内炎が痛いので珈琲が冷めるまで待っていたら、「早く出し過ぎましたか」と新しい珈琲を持ってきてくれた。事情を話したら二杯ともいただけることに。親切だ→〈ペンタ渋谷ジュークハウス〉にて5年ぶり? のLove Handlesリハーサル。新曲「Special Care」について、歌詞の解釈から演奏のノリを考えて行くという議論が有意義だった。他はブランクがあった割にはいい感じにまとまっていたが(ブラッシュアップは必要だが)、「Tunji」はちょっとドラムを真剣に考えないといけないな。いわゆるジャズドラム(ライドシンバルとハイハットでスイングみたいな)にこだわらなくてもいいかもしれない→〈テング酒場 渋谷西口桜丘店〉で一杯。枝豆、鶏レバー、ネギマ、イカ焼き、銀杏、海苔ピザ、ビール大瓶×1、酎ハイ×3→帰途も道玄坂上からバス→平和に帰宅→風呂→丹波黒枝豆、豚生姜焼き、キャベツ、じゃがいも薄切りソテー、茄子のおつけ、丹波黒豆とさつまいもの炊き込みご飯、ビール中瓶×2、金宮酎ハイ×2→夜11時半就寝。
11月4日(月) 朝8時起床。白湯→茄子のおつけ(生卵)、丹波黒豆とさつまいもの炊き込みご飯→午前中、12/7の本番に向けた連絡業務など→おろし花巻たぬきそば→午後も連絡業務(入り時間と機材の確認など)→『美人母娘3人、ああ華麗なる結婚サギ2』(原作:三木孝祐『HOSEKI事件簿』、監督:日高武治。柏原芳恵、森下愛子、朝丘雪路、藤岡琢也、清水善三、加納竜、鈴木正幸。1986、ANN)。感想は前作同様で、「どうということもない作品だが、母娘三人のコミカルな人物設定と関係性、そして芝居が意外によくて楽しい。森下愛子は一番輝いていた頃ではないだろうか。いかにも80年代の今となっては恥ずかしい衣装をまとっていてもバランスがよくまったく古い感じもせず、とても魅力的であった」。本作では母娘と同様サギ師であるところの藤岡琢也の藝に感心させられた→ジャン・ユスターシュ『わるい仲間』(原題『Les Mauvaises Fréquentations』、監督:ジャン・ユスターシュ。アリスティド・ドメニコ、ダニエル・バール、ドミニク・ジャイール。1963製作/1967公開、仏)。ポスト・ヌーヴェルバーグの旗手と呼ばれたジャン・ユスターシュの二作め(完成作としては一作め)の中編。冴えない青年ふたり(アリスティド・ドメニコ、ダニエル・バール)がパリの街での夜をどう過ごすか、女でも探すか、と動き回り、ひとりの女性(ドミニク・ジャイール)と出会いしばし一緒に過ごすが、うまく口説けず仲よくもなれず、その女性の財布を盗んで蓄電する、という、どうしようもない物語。青年たちの冴えなさっぷりが可笑しいし、いい味わい。テーマとか教訓とか、そういうものを伝えたくて作った映画ではなく、いわばスケッチ≠フ面白さを狙ったのではないかと思ったが、果たして。監督の妻が実際に遭遇した災難に着想を得た作品、ということのようだが、妻の話を聞きながらふむふむこれは面白い映画になるかな? と考えている様子を想像するのも面白い。なお邦題の『わるい仲間』に間違いはないが、原題の「mauvais」には「性悪な、よこしまな、道徳的に劣った、ふしだらな、誤った、不適当な」という意味が含まれているのかなとも思う。いや考え過ぎかもしれないが、その辺のニュアンスを「わるい」というひらがな表記に込めたのではないかとも思ったが、これまた果たして。「fréquentation」は「つきあい、交際、仲間、交友」だろうから、特になし→昆布とかつ節出汁殻、味好み、菊水堂ポテトチップス、鮭とぶなしめじホイル焼き(バター)、じゃがいもホイル焼き)、納豆卵かけご飯(青海苔)、ビール中瓶×2、金宮酎ハイ×4→夜10時頃就寝。
11月5日(火) 朝9時起床。白湯→茄子のおつけ、卵かけご飯、納豆、海苔→午後、老父買い物代行(クリエイト、コジマ、サミット)および〈所澤医院〉付き添いと郵便局付き添い→味好み、炒り丹波黒豆、鶏ささ身と野菜の中華炒め(うずらの卵、キャベツ、ニンジン、ぶなしめじ、ニンニク、生姜)、ビール中瓶×2→夕方6時半頃就寝→二時間ほどで起床(要するに遅い午睡)→最近観た映画やTVドラマの感想をまとめたり、ここ数日の日記を補完したりしてから風呂→録画消化しながら味好み、鶏ささ身と野菜の中華炒め、金宮酎ハイ×5→午前4時就寝。
11月6日(水) 午前11時起床。白湯→茄子のおつけ、卵かけご飯、丹波黒豆ふりかけ、海苔→昨夜途中でやめた『スノーホワイト』を最後まで。(原題『Snow White & the Huntsman』、監督:ルパート・サンダース。リバティー・ロス、ノア・ハントリー、ラフィー・キャシディ、ザビエル・アトキンス、シャーリーズ・セロン、サム・スプルエル、ヴィンセント・リーガン、クリストファー・オービ、リリー・コール、クリス・ヘムズワース、イアン・マクシェーン、ボブ・ホスキンス、レイ・ウィンストン、ニック・フロスト、エディ・マーサン、トビー・ジョーンズ、ジョニー・ハリス、ブライアン・グリーソン、クリステン・スチュワート、サム・クラフリン。2012、米ユニバーサル・ピクチャーズ) グリム童話の『雪白姫』を、ダーク・ファンタジーや戦闘ものが好きな人に向けてそういう人たちが好きになるような映画に仕立てた、という作品と思ったが、果たして。それなりの工夫はあるし、七人の小人たち(本作では小人の長老やリーダーや長老の息子などを入れて八人の小人となっている)の造形や、終盤に出てくる小さく鋭い金属片が集合して現れる怪物≠フ造形などは面白かったし、シャーリーズ・セロン扮する女王ラヴェンナ(原作と同じく継母の設定)の冷たい感じはよかったが、粋な感じとか笑いとか奇想などがまったく見当たらず、私には退屈な作品であった。まあ好きな人には好ましい作品なのだろう(当たり前か)。ちなみに九年前に観ていて、その際の感想は「『白雪姫と鏡の女王』に比べると、現代のツッパリ(死語)をお伽噺の世界に置き換えたみたいで、華も余白もなく、特に楽しいものではなかったな」。今回はおそらくその『白雪姫と鏡の女王』(2012。監督:ターセム・シン・ダンドワール、主演:リリー・コリンズ)と勘違いし、さらに続けて放映された『スノーホワイト 氷の王国』を『白雪姫と鏡の女王』の続編と勘違いして、本作を観た次第。というわけで録画済みの『氷の王国』をさてどうするか→O形サイト更新→DU連絡業務→かけそば(うずらの卵×2、刻み葱)→結局観ることにして−−『スノーホワイト/氷の王国』(原題『The Huntsman: Winter's War』、監督:セドリック・ニコラス=トロイアン。シャーリーズ・セロン、エミリー・ブラント、ナナ・アジェマン=ベディアコ、コンラッド・カーン、ニーヴ・ウォルター、サム・クラフリン、ニック・フロスト、ロブ・ブライドン、ラルフ・アイネソン、シェリダン・スミス、アレクサンドラ・ローチ、フレッド・タタショア。2016、米ユニバーサル・ピクチャーズ)。前作『スノーホワイト』同様絵造りこそ大人向けの趣だが内容は子供でも楽しめる(むしろ子供向けの)もの。本作ではスノーホワイトはナレーションと台詞にしか登場せず(要は登場しない)、話もラヴェンナ(シャーリーズ・セロン)とフレイヤ(エミリー・ブラント)の姉妹の魔女王(でいいのかな?)の物語で、もはや白雪姫は関係がない。そして前作と比べると、物語を構成する要素や登場人物も少なく、華や余白は多少あったかなと思う。男女ドワーフ(ニック・フロスト、ロブ・ブライドン、シェリダン・スミス、アレクサンドラ・ローチ)のいがみ合いや交流や恋模様などはなかなかいい味わいだった。しかしラヴェンナとフレイヤの確執にハントマンのエリック(前作と同じくクリス・ヘムズワース)とその妻サラ(ジェシカ・チャステイン)の物語も盛り込み、美女はもうたくさんということでスノーホワイト(前作ではクリステン・スチュワート)を省いたのかもしれないが、南の王国≠ェどのように統治されていてどんな風にパラダイスなのかを、スノーホワイトの姿も交えて描いて欲しくはあった→夕方四谷三丁目に出て、まずは〈新記〉にて、高岡さんと一杯。エビ焼売、豚耳、ピータン豆腐、レタスオイスターソース、黄金ニラともやし炒め、アサリのにんにくソース蒸し、とりの紹興酒蒸し、醤油焼きそば、ピール中瓶×5→それから〈dress〉に移動し、ラムソーダ割り×2。ここでも楽しく会話したが、ちょいとウトウトしてしまった→夜11時頃解散、平和に電車で帰宅→白湯飲みながら『必殺剣劇人』見てから就寝。午前1時。『必殺剣劇人』、明日が最終回だ。
11月7日(木) 朝7時起床。白湯→どんこと油揚のおつけ、卵かけご飯(丹波黒豆ふりかけ)、海苔→DU仕事、全体のリードを作成して送付(最終見積もりとともに)。このリードがそのまま通れば業務終了→仮眠。昼過ぎまで横臥→鶏ささみそば(煮込み葱)→『陽氣な渡り鳥』(監督:佐々木康。桜むつ子、美空ひばり、青木放屁、淡島千景、堺駿二、高橋貞二、河村黎吉、望月優子、桂木洋子、日守新一、山本多美、安部徹、坂本武、日夏紀子、長尾敏之助、小林十九二、斎藤達雄。1952、松竹)。生まれたばかりの頃に父親(斎藤達雄)と生き別れた少女(美空ひばり)が、預けられた先に赤ん坊が生まれたことで疎んじられ、思い余って時分が好きな歌と踊りで生活している旅芸人一座(安部徹、桜むつ子、淡島千景、堺駿二、高橋貞二、日守新一、坂本武)に紛れ込んで行動を共にするも、一座の内紛に巻き込まれ、また一座の売れっ子となってからは菌の卵¢奪戦にも巻き込まれ−− という、父娘の再会というお涙頂戴を含んだ喜劇。物語などに破綻はないが、光っているのは冒頭の桜むつ子の女剣劇だったり、淡島千景の奇術と水藝だったり、いつものような堺駿二のさりげない笑いだったり、まあつまり個々の役者の魅力や藝であって、脚本・演出という部分でのこの映画ならではの工夫が生きている箇所はどこかと言われればよくわからなかった。最後の最後に出てくる斎藤達雄の存在感はなかなかだったが、昔ちょっと音楽をやってた≠ニポツリといっただけで一座に加わることになり、しれっとサックスを吹いて一緒に旅しているという展開は、面白いけれども杜撰ではなかろうか。美空ひばりは15歳、そろそろ銀幕でも天才子役から女優≠ニして輝き始めている頃のはずだが、本作ではあまり光っていないように思った→夕方祖師ヶ谷大蔵へ。田園調布の名店と聞くステーキハウス〈パシモン〉(行ったことはないが)が祖師谷にハンバーガーショップ〈パシモンバーガークラブ〉を出したと本日知ったので立ち寄ってみた。ハンバーガー、フレンチフライ、ビール小瓶×1。ビール小瓶千円は高いが、ハンバーガーはリーズナブルと思った→続けて本日のお目当て〈カフェ・ムリウイ〉にて『芒洋たる大陸 vol.8』。佐藤芳明のアコーディオンと田中邦和のカヴァル(中央アジアの笛。田中邦和の楽器は確かブルガリア製)によるデュオ。今回は第一部がほぼすべてクラシックの曲で、ラヴェル『ボレロ』やバッハのフルート組曲など。カヴァルでは出ない音階があり、それへの工夫とその工夫に端を発したような旋律の崩し方が楽しかった。第二部のジャズ・スタンダード『Tea For Two』もよかった→終演後しばし談笑し、ラムお湯割り×4→往復とも徒歩だが、帰途は祖師谷通りを少し北上してからアミダクジ式に廻沢通りに出て環八を渡り、その後は適当に歩いていたら「成城消防団第三分団四部」の施設のところに出たので、水道道路〜巨大マンション地域〜緑道と通って帰宅→鮭と大根とニンジンの煮物、ビール中瓶×2→日付変わる前に就寝。
11月8日(金) 朝8時起床。白湯→朝食取らずに老父にクスリ配達→帰途〈松葉茶屋〉に寄って遅い朝。かき揚げそば→午睡→風呂→夕方下北沢へ。駅前の〈ピーコック〉の建物にある〈劇団S.W.A.T!稽古場〉にて、『My cinema paradise 2024』を見物(作・演出:四大海。滝佳保子、瀧下涼、渡辺有希、金井迪大、山本みこ、四大海)。さして人気があるわけでもない?地域ラジオの映画紹介番組が番組改編により復活し、同時にスポンサーがついて新しいパーソナリティも加わって…… という中で起こる騒動を積み重ねていって、その中に心温まるような総話を加えることでいつもの劇団S.W.A.T!の作品のように笑いと感動で観客の心を揺さぶる、といった趣だった。その「心を揺さぶる」ダイナミズムは、本作は少人数かつ一場の芝居だし普段の公演よりおとなしいと感じたが、登場人物がそれを演じる役者本人の好きな映画について語る場面をひとつの軸にしている点(本作ではラジオ局アナウンサー役の滝佳保子が『トンマッコルへようこそ』、ベテランパーソナリティ役の瀧下涼が『リメンバー・ミー』について語った)=役者本人個人の想いがふと前面に出る仕掛けという点が、私にはなにやら新鮮な奥行きや深さのようなものに感じられた。「新しいパーソナリティ」を演じた山本みこの表現力にも感心。瀧下涼が山本みこにラジオ・パーソナリティとしての心構え≠ノついて語ったのち、山本みこがなにかをつかんで少し成長するのだが、その過程に描かれるべき(と私は思うのだが)葛藤や衝突や展開、あるいは怒りや哀しみや開き直りなどの感情がほとんど描かれなかったところは、私には残念な点だった→どこにも寄らずに平和に電車で帰宅。経堂に着いてからしばし考え、〈オダキューOX〉で適当な酒肴を買って家で飲むことにする→『あきれたあきれた大作戦』再見しながら、いわしハンバーグ、オクラ胡麻汚し、バッファローチキン、ビーフメンチカツ、中村屋ビーフカレー、ロールパン、ビール中瓶×1、金宮酎ハイ×3→日付変わるくらいに就寝。
11月9日(土) 朝10時起床。白湯→どんこと油揚のおつけ、さつまいもと丹波黒豆ご飯→録画消化(『無能の鷹』『正直不動産』→月見そば(刻み葱、揚げ玉)→風呂→夕方高円寺へ。〈ちんとんしゃん〉にて『佐々木亜希子の活弁天国! 第三夜』を見物。本日は『吸血鬼ノスフェラトゥ』(原題『Nosferatu – Eine Symphonie des Grauens』、原作:ブラム・ストーカー、監督:フリードリヒ・ヴィルヘルム・ムルナウ。グスタフ・フォン・ヴァンゲンハイム、グレタ・シュレーダー、ヨハン・ゴットウト、アレクサンダー・グラナック、ルース・ランドスホーフ、ゲオルク・H・シュネル、マックス・シュレック、マックス・ネメッツ、ヴォルフガング・ハインツ、グスタフ・ボーツ。1922、独Prana-Film GmbH製作)。現存する最古の吸血鬼映画(本作以前には1913年米国作品の『The Vampire』、1921年ハンガリー作品の『Drakula halala』などがあるそうだが、いずれもフィルムは失われている)。吸血鬼ノスフェラトゥ=オルロック伯爵(マックス・シュレック)の造形、主人公の青年トーマス・フッター(グスタフ・フォン・ヴァンゲンハイム)やノスフェラトゥに操られている不動産屋(トーマスの仕事上の上司)ノック(アレクサンダー・グラナック)の芝居はさすがに時代がかっているが、今から百年前にしてすでに吸血鬼映画の原型として完成しているのに、改めて驚く。影の怖さ≠フ表現は『カリガリ博士』由来だろうが、ネズミを効果的に使うことによって吸血鬼の恐怖に疫病(はっきり言えばペスト)の恐怖≠うまく混ぜ込むとか、それこそ棺桶の中からノスフェラトゥがまっすぐに起き上がる&\現とか、恐怖というものの正体もいろいろ練られたものと思う。反ユダヤ主義的なニュアンスを含む映画≠ニいう見方もあり(現在ではそうではない見方のほうが優勢のようだが)、いろいろ語るべき要素の多い作品であると思う。なお本作は佐々木亜希子の説明にて鑑賞(高円寺〈ちんとんしゃん〉にて)。本作は原作者ブラム・ストーカーの許可を得ずに製作されたため、役名をすべて原作から変えたものの、原作者の相続人からの訴訟の結果オリジナルのネガとプリントは破棄されているわけだが、今回の鑑賞は米国で流布したプリントからデジタル化されたもののようで、事情はわからないが字幕の役名はすべて原作と同じ(一部は違うようだが)だった(本感想では大元の『Nosferatu – Eine Symphonie des Grauens』の役名を記した)→終映後の懇親会でも楽しく飲み、平和においとま→帰りの小田急線で、阿佐ヶ谷でのライブを終えたユーピンと共演のドラマー氏、そしてまんちんと遭遇。豪徳寺で下車してまた飲んで記憶無くなるまで。その後は経堂まで歩き、経堂駅からタクシーで帰宅した模様。
11月10日(日) 宿酔にて終日横臥途中で刻み月見うどん(葱、揚げ玉、おろし生姜)→夜起きて風呂→玉葱と油揚のおつけ、ご飯、納豆→しばらくしたら飲みたくなってきたので、『若さま侍捕物帖 鮮血の人魚』(原作:城昌幸『人魚鬼』、監督:深田金之助。進藤英太郎、高堂国典、大川恵子、中野雅晴、宮嶋智恵子、品治京子、北村曙美、尾上華丈、大川橋蔵、星美智子、星十郎、岸井明、千原しのぶ、岡譲司、松本克平、仁礼功太郎、渡辺篤、木南兵介、坂東簑助、伏見扇太郎。1957、東映)観ながら、味好み、ビール中瓶×1。大川橋蔵版としては五作め(『地獄の皿屋敷/べらんめえ活人剣』を一本と考えた場合)。謎解きに関しては割とゆるく(悪者が誰かや殺人の目的が冒頭から割と明確なため)、大川橋蔵の若さまっぷり=iいざというときは頼りになるがふだんはなよなよとして色っぽい)もそれほど炸裂していなかった。本シリーズの感想を読み返すと、一作めの『地獄の皿屋敷/べらんめえ活人剣』は満足、続く『魔の死美人屋敷』はやや不満、本作も(人魚が出てくるようなところは面白いが)やや不満、その後の『深夜の死美人』と『鮮血の晴着』は満足、という感じだが、私にとっても満足/不満足は若さまっぷり≠ェ決め手のようだ。なお本作は記録では2016年8月に一度観ていることになっているが、今回観て記憶はまったく蘇らなかった→玉葱と油揚のおつけ(揚げ玉、うずらの卵×2)で〆ようと思ったが、結局金宮お湯割り×2追加→午前4時就寝。
posted by aokiosamublog at 23:00| 小ネタ/思考/日記